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p.85 抽出テキスト

はTAVI-PVEで53.7%であったにもかかわらず,実際の手術施行率は7.3%にとどまり,手術による予後改善効果も認めなかったとの報告もある682).TAVI-PVEに対する手術の有効性を検証した大規模な臨床研究はまだないが,小規模な臨床研究では,手術群と非手術群の死亡率には大差がなく,手術による予後改善効果は不明瞭とされる686, 689).その原因として,一般的にTAVI-PVE患者は患者背景が不良なこと,またTAVI弁の構造により拡大手術が必要となる症例が多いことなどがあげられる685. 690).上記の理由から,intermediate-high risk AS(TAVI 前STS score ≧ 4.0%)に対して施行されたTAVI-PVEに対して,開胸手術による再弁置換は侵襲が非常に高く,抗菌薬による内科的治療に対する有効性は示されていないと考えられる.しかし,現在TAVIがlow risk患者(TAVI前STS score<4.0%)にも広く行われるようになり,TAVI-PVE症例の患者背景も変化してくることが予想される.そのため,low-risk AS患者のTAVI-PVEに対しては開胸再弁置換手術が生存率を改善させる可能性もあり,IEチームによる慎重な検討のもとで治療方針を選択するべきである(推奨表20).

3 デバイス感染(ペースメーカ/ ICDなど)(推奨表21)

従来の心臓ペースメーカに加えて,心臓再同期療法(CRT)や植込み型除細動器(ICD)などのさまざまなCIEDの発達と普及により,治療の恩恵を受ける心疾患患者の数は増え続けている.一方で,それに伴いCIED感染も年々増加し続けている691).わが国の多施設共同研究によれば,感染の発症率はペースメーカで年間1.081%,それ以外のデバイスで1.375%であり692),海外からの報告でも植込み術後1年までの感染発症率は1%とされている693).

感染発症のリスクはデバイス関連,患者関連,手技関連の3因子に分類される. ペースメーカよりもICD,CRTが,植込むリードの本数が多いほうが高リスクであり,患者関連因子としては腎機能低下,心疾患,慢性閉塞性肺疾患,心房細動,免疫能低下,術前の発熱,テンポラリーペーシング,抗凝固薬内服があげられている.手技関連では術後の血腫形成,再手術,ベースメーカ電池交換等があげられる693-695).

CIED感染はしばしば重篤で致命的となることがあり,死亡率は約5%と予後不良である11).そのため,早期の診断と的確な治療方針の決定が重要である.特に,デバイス局所の感染なのか,あるいはリード感染やIEなのかなど,感染のフォーカスによって治療方針が異なるため,その同推奨表20 TAVI 患者の人工弁IE における手術適応の推奨

とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

IE チームにより再手術リスクの検討および手術適応の決定を行うI C TAVI-PVE 患者(TAVI 前Intermediate-high risk 群)に対する再弁置換術を考慮してもよいIIb C IE:感染性心内膜炎

推奨表21 デバイス関連IE の診断と治療の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

デバイス関連IE が疑われる際には,疣腫の有無の確認のために経胸壁心エコー図/ 経食道心エコー図を行うI Bデバイス関連IE に対しては抗菌薬投与を行うとともに,速やかにリードを含む全システム抜去を行うI B抗菌薬投与は少なくとも3 セットの血液培養を行った後に,メチシリン耐性ブドウ球菌およびグラム陰性菌に有効な薬剤を使用するI Cデバイス関連IE に対しリード抜去術を行った後にデバイスの再留置を行う際は,感染兆候が改善し,疣腫を認めない症例であれば血液培養が72 時間以上陰性であることを確認したのちに,疣腫を認める症例では2 週間抗菌薬投与を行ったのちに,当初の留置部位から離れた部位に留置するI C弁に感染を認め,リードに明らかな感染の波及が認められない場合は,原因菌と弁への手術適応の有無を検討しリード抜去術を考慮するIIa C適切な抗菌薬治療を行っても治療抵抗性あるいは再発性のグラム陽性球菌あるいは真菌血症を認め,デバイス関連IE が否定できない場合にはリード抜去術を考慮するIIa C敗血症性肺塞栓を認める,あるいは人工弁患者におけるデバイス関連IE の場合は,リード抜去術に引き続き4~6 週間の抗菌薬投与を行うことを考慮するIIa C適切な抗菌薬治療を行っても治療抵抗性あるいは再発性の感染巣不明のグラム陰性菌菌血症を認める場合にリード抜去を考慮してもよいIIb C IE:感染性心内膜炎