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p.71 抽出テキスト

グラーゼ陰性ブドウ球菌が多い564).鼠径部には腸球菌が常在している592).また,TAVI後のIEが発症すると予後が悪いことが多い.今回のガイドラインでは,ESCガイドラインと同様にTAVI時の抗菌薬投与が望ましいとした11).また,その際は黄色ブドウ球菌と腸球菌のカバーが望ましいと考えられる11).

左心耳閉鎖デバイス留置時,経皮的心房中隔欠損閉鎖術時,カテーテルによる僧帽弁形成術時のIE発症率のデータは乏しいが,IEのリスクが高いと考えられる症例では,経験的な周術期抗菌薬投与は検討されるべきである569, 571, 572) .

3.3.2 心臓手術

弁膜症手術を予定している患者で口腔内病変の有病率は高く,術前に歯科を受診し,スクリーニングを行っておくことは重要である593).一方,歯科治療よりも心臓手術のタイミングが優先されるべきであり,術前の不必要な抜歯はせず,プラーク除去など衛生状態を保ち,術後は口腔内管理・患者教育を行うことが重要である593). 3.3.3 心臓植込みデバイス植込み時

最近の研究でも,心臓植込みデバイス植込み後にIE発症率が上昇することが示された591, 594).手術時にはマキシマル・バリア・プリコーション(滅菌手袋,滅菌ガウン,マスク,帽子,全身を覆う十分なドレープを使用)を用いた手技を行うことが必要である.ペースメーカや植込み型除細動器の植込み術時の予防的抗菌薬投与を推奨する11).

3.3.4 呼吸器,食道,泌尿生殖器,消化管の手技・処置 に対する予防

最近の研究では,高度リスク群ならびに中等度リスク群においても上部消化管内視鏡,気管支鏡実施後IE発症頻度は有意に上昇することがわかった591).骨髄穿刺後にもIE発症率が高いことが示された591).皮膚に侵襲を加える手技の際の無菌操作の必要性は明らかである.一方,これらの手技に対する予防的抗菌薬投与の有効性に対するRCTは行いにくい一方,高度リスク患者にこれらの手技を行った後にIEを発症する場合の予後は悪いことが予想される.今回の改訂では上部消化管内視鏡,気管支鏡,骨髄穿刺も予防的抗菌薬投与を行ってもよい手技と位置づ

推奨表17 IE 中等度/ 高度リスク患者に施行時に予防的抗菌薬投与を必要とする手技に関する推奨とエビデンスレベル

抗菌薬投与状況推奨クラスエビデンス

レベル

予防的抗菌薬投与を行う・ 歯科口腔外科領域:出血を伴い菌血症を誘発するすべての侵襲的な歯科処置(抜歯などの

口腔外科手術・歯周外科手術・インプラント手術,スケーリング,感染根管処置など)・ 耳鼻科領域:扁桃摘出術・アデノイド摘出術・ 心血管領域:人工弁や心血管内に人工物を植込む手術,カテーテルによる人工弁植込み手

技(黄色ブドウ球菌と腸球菌のカバーが望ましい),ペースメーカや植込み型除細動器の植込み術I B

予防的抗菌薬投与を考慮する・ 局所感染巣に対する観血的手技:膿瘍ドレナージや感染巣への内視鏡検査・治療(胆道閉

塞を含む)・ 経尿道的前立腺切除術(TUR-P):特に人工弁症例IIa C

予防的抗菌薬投与を考慮してもよい.ただし,高度リスク群には予防的抗菌薬投与を行う・ 消化管領域:上部消化管内視鏡検査(生検を含む),食道静脈瘤硬化療法,食道狭窄拡張術,

下部消化管内視鏡による粘膜生検やポリープ切除術,胆道手術・ 泌尿器・生殖器領域:尿道拡張術,経膣分娩・経膣子宮摘出術,子宮内容除去術,治療的流産・人工妊娠中絶,子宮内避妊器具の挿入や除去・ 心血管領域:心臓カテーテル検査・経皮的血管内カテーテル治療・ 手術に伴う皮膚切開(特にアトピー性皮膚炎症例)・ 呼吸器領域:気管支鏡・ 血液学的領域:骨髄穿刺/生検IIb C

予防的抗菌薬投与は推奨されない・ 歯科口腔外科領域:非感染部位からの局所浸潤麻酔,歯科矯正処置,抜髄処置・ 呼吸器領域:喉頭鏡検査,気管内挿管(経鼻・経口)・ 耳鼻科領域:鼓室穿孔時のチューブ挿入・ 消化管領域:経食道心エコー図・ 泌尿器・生殖器領域:尿道カテーテル挿入,経尿道的内視鏡(膀胱尿道鏡,腎盂尿管鏡)・ 心血管領域:中心静脈カテーテル挿入III No benefit B IE:感染性心内膜炎