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p.68 抽出テキスト

た.外科的弁形成術(カテーテルによる弁形成術は含まない)も同様にリスクが高いことが示された562).2023年のESCガイドラインでも予防的抗菌薬投与が強く推奨されるようになった11).わが国における今回の改訂では,人工弁置換術を引き続き高度リスク群とするとともに,カテーテルによる弁置換術も高度リスクに明記し,外科的弁形成術も高度リスクに加えた.

2.1.2 IE罹患後

IE罹患後は,治癒したのちもIE発症率が通常よりも高い.これは,内膜障害,非細菌性血栓性心内膜炎(NBTE)が残存し,菌が付着しやすくなっているからと考えられている.2023年のESCガイドラインでも予防的抗菌薬投与が強く推奨されるようになった11).今回のガイドラインでも高度リスク群とした.

2.1.3 構造的心疾患インターベンション後

経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)後には,外科的大動脈弁置換術後と同様に人工弁IEが生じうる.TAVI後のIEについてはVARC基準で,Duke基準,再手術時の感染所見,剖検時のIE所見と定められている563).TAVI後のIEの頻度は植込み1年の時点で0.2~3.1%(≒200~ 3,100/10万人年)であり,高度リスクに相当する頻度である564).TAVI後のIEの原因菌は黄色ブドウ球菌,腸球菌,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌が多い564).TAVI後と外科的大動脈弁置換術後のIEリスクはほぼ同等とする結果が多いが,TAVI後のIEのほうが外科的大動脈弁置換術後のIEよりも死亡率が高いとするものもある565, 566).若年,心房細動,男性,手術高リスク,慢性腎臓病/透析,糖尿病,心不全既往,ペースメーカ留置,心停止,主要な出血, TAVI入院中の菌血症,中等度以上の大動脈弁逆流の残存, valve in valve手技などがIEリスクとされる564, 566, 567). TAVI後には大動脈弁のみならず僧帽弁にIEが生じることもある568).自己拡張弁や弁周囲逆流が残ったもので多いとされる568).上記を鑑み,今回の改訂ではカテーテルによる人工弁植込み手技も高度リスクに明記した.

経皮的僧帽弁接合不全修復術(M-TEER)に関連したIEは稀であるが,いったん発症すると予後は悪い569).多くは黄色ブドウ球菌により引き起こされるが,口腔内レンサ球菌によるIEも報告されている569).実施症例数の多い施設に比べて,少ない施設ではIE合併が多い570).ESCガイドラインでは,経皮的僧帽弁/三尖弁接合不全修復術後の患者に対する予防投与については情報が少なく,推奨にはあげられていない11).IE発生頻度は少ないが,情報も少なく,今回のガイドラインでは,あえて低リスク群には記載しな

推奨表16 基礎疾患別リスクと歯科口腔外科手技に際するIE予防のための抗菌薬投与の推奨とエビデンスレベル

IE リスク推奨クラスエビデンス

レベル

1 高度リスク群(IE 発症の可能性が高く,重篤化しやすい患者):予防的抗菌薬投与を行う

・ 外科的/ 経カテーテル的人工弁置換患

者(生体弁,同種弁を含む),弁輪リング等を用いた外科的弁形成術後

*1

・ IE の既往を有する患者・ 未修復

*2 の複雑性チアノーゼ性先天性心疾患(単心室,完全大血管転位,ファロー四徴症)・ パッチ,人工材料を用いて修復した先天性心疾患で,修復部分に遺残病変を伴う場合(術後期間を問わない)・ 体循環系と肺循環系の短絡造設術を実

施した患者I B

・ 左室補助人工心臓を有する患者I C 2.  中等度リスク群(必ずしも重篤とならないが,IE 発症の可能性が高い患者):予防的抗菌薬投与を考慮する(IIa)または考慮してもよい(IIb)・ ほとんどの先天性心疾患

*3,大動脈二尖弁を含む先天性弁膜症・ 後天性弁膜症

*4

・ 閉塞性肥大型心筋症・ 弁逆流を伴う僧帽弁逸脱症IIa C・ 人工ペースメーカ,植込み型除細動器

などのデバイス植込み患者*5・ 弁変性を有する心移植後の患者IIb C

3 低リスク群(感染の危険性が特になく,一般の人と同等の感染危険率とされる患者):予防的抗菌薬投与は推奨されない

・ 単独の心房中隔欠損(二次孔型) *6・ 心室中隔欠損・動脈管開存・心房中隔欠損根治術後6ヵ月以上経過した残存短絡がないもの・ 冠動脈バイパス術後・ 逆流のない僧帽弁逸脱症・ 生理的または機能的心雑音・ 弁機能不全を伴わない川崎病の既往・ 弁機能不全を伴わないリウマチ熱の既

往III No benefit C *1カテーテルによる僧帽弁/三尖弁形成術後についてのデータは十分ではない.左心耳閉鎖デバイス留置6ヵ月以内,経皮的心房中隔欠損閉鎖術後6ヵ月以内は予防的抗菌薬投与を推奨する*2姑息的吻合術や人工血管使用例を含む*3単独の心房中隔欠損(二次孔型)を除く( *6参照) *4逆流を伴わない僧帽弁狭窄症ではIEのリスクは低い*5リードレスペースメーカ,皮下植込み型除細動器は除く*6心房中隔欠損(二次孔型)も一般人口に比べるとIEリスクは高いという報告がある576, 577)(本文参照) IE:感染性心内膜炎