p.66 抽出テキスト
性期弁手術の適応・時期を判断する.心エコー図検査や血液検査を,どの程度の間隔でどの程度の期間施行すべきかについては明確な基準はないが,特に1年以内は綿密なフォローが必要である11, 545).また,IEに合併する感染性脳動脈瘤は,破裂すると死亡率が高い疾患であり,経時的変化を慎重にフォローする必要がある. 2 再発(再燃および再感染)の 頻度と危険因子 再発は,再燃(初回と同一原因菌の感染)と再感染(初回と異なる原因菌の感染)に分けられる.再発の頻度は2~ 9%とされる545, 546, 549-556).再燃よりも再感染のほうが予後不良である546).自己弁IEに対して人工弁置換術を施行した症例の再発は,術後15年で約20%とされている549).再発に関連する因子はいくつかあげられるが551, 552)(表22),初回治療時の不適切な抗菌薬治療が原因であることが最も多い. IEを基礎疾患として人工弁置換術を施行した例では,弁輪部組織が脆弱なために弁輪周囲逆流が生じることがあり,注意が必要である. 3 慢性期弁手術の適応 最近では,IE発症後早期に手術を行う症例が増加しているため,慢性期の弁手術は減っている(3~8%)が546, 549),内科的治療を受け重症弁機能不全が残存した例では,慢性期に弁手術の適応となる可能性がある.また,抗菌薬治療後に弁機能不全が進行することもある.これらの症例では,弁病変の変化,心不全の有無,心機能の変化などを心エコー図検査などでフォローする必要がある.そのため,抗菌薬治療終了時に心エコー図検査を施行し,その後のフォローアップの基礎データとする. 4 患者教育 再発の可能性があることを,患者本人に知っておいてもらう必要がある.齲歯やアトピー性皮膚炎など初発IEの感染門戸が明らかな場合は患者に伝え,特に感染予防に注意してもらい,再発時の症状についても具体的に伝える.また,発熱時の安易な抗菌薬服用は避けるよう,患者本人はもちろん,かかりつけ医にも伝え,IE について理解してもらうよう連携する.IE の既往は IE 再発の高度リスク因子であるため,観血的な処置の際には抗菌薬の予防的投与の適応となることについても,患者,かかりつけ医を啓発する.また,口腔内や皮膚の清潔を保つような教育も重要である. 表22 感染性心内膜炎の再発に関わる因子 • 不適切な初回抗菌薬治療(不十分な期間,不適切な抗菌薬など) • 血液培養陰性• 薬剤耐性の原因菌• 人工弁感染,弁輪部に及ぶ感染• 他臓器に持続性の感染源を有する症例• 慢性透析患者• 免疫低下症例(免疫抑制薬内服症例など) • 薬物中毒患者