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p.65 抽出テキスト

生存率が向上したという報告も多い530, 537).弁形成術の成績は術者の技量に左右されるので538),患者年齢や術前状態に応じて術式を選択する必要がある.一方で,予後の改善という意味では早期の弁形成術の適応を常に考えておく必要がある.

感染が弁輪周囲へ波及して膿瘍を形成したり,正常な解剖構造が破綻をきたした重症例では,弁置換と弁輪周囲の再建手技が必要である.感染組織の完全な切除,郭清後,欠損部位を自己または異種心膜,人工血管で再建する.

現時点でIEに対するMICSの適応は明確ではない539).そのため症例ごとに慎重な判断が必要である.肺高血圧のない心不全症例で,感染が弁尖に留まるもの,弁輪周囲膿瘍や心臓骨格が破壊されていないものなど,単純な手術操作で治癒できる症例が適応になる可能性はある.過度の体外循環時間の延長は出血や腎不全という合併症に加えて,再膨張性肺水腫というMICS特有の合併症のリスクを高める540).

3.3 三尖弁IE

三尖弁も僧帽弁と同様に感染が限局する場合は弁置換術で手術の目的を達成できるが,僧帽弁IEで述べたように,人工弁の耐久性と合併症を考慮すると,弁形成術が望ましい541, 542).弁形成術と弁置換術の長期生存率は同等であるという報告もあるが,弁形成術はペースメーカを必要とすることが少ないだけでなく,IEの再発や再手術の回避率が高く,三尖弁IE患者にとって望ましいアプローチである543).弁穿孔は心膜パッチで閉鎖し,弁逸脱は人工腱索で修復できる.拡大した三尖弁輪はリングで縫縮されるべ

きである.弁破壊が高度で形成が困難な症例では弁置換を行うが,人工弁の選択には注意を要する.近年,ブタ弁の方がウシ心膜弁よりも耐久性が優れるとする報告もある544).海外では薬物中毒者のIEが多く,三尖弁切除術が選択される場合もあるが,わが国では一般的な術式ではない.

3.4 術後管理

通常の弁膜症の術後管理と異なる点は,周術期脳合併症の悪化または新たな発生があること,弁周囲逆流の発生率が高いこと,またその原因の1つとして感染が遷延する場合があることである.これらの合併症に対する注意深い観察とそれぞれへの対応が必要である.感染性脳動脈瘤は術後に生じることもある.微小出血が多発する症例では,術後の変化に注意が必要である.出血病巣は抗凝固療法による増悪の可能性がある.したがって術前脳合併症の有無にかかわらず,すべての症例で術後も頭部画像評価の施行を検討する.施行時期に明確な基準はないが,術後1週間から10日以内を目安とする.弁周囲逆流や感染遷延を認める症例では再手術を必要とすることがあり,その時期の判断を誤らないことが重要である.定期的な心エコー図検査と血液培養検査を行う.抗菌薬の投与期間は,摘出組織の細菌培養が陽性であれば,術後から投与期間を1コースとして投与し,陰性であれば術前からの投与期間を含めて1コースとして決定する355).

第6章 外来でのフォローアップ

1 フォローアップの必要性と要点

IE 治療後の患者は,同じ年齢・性別の一般人口に比べ予後不良であり,特にイベントの多くは初回治療後数年の

間に生じることが知られている545-549).そのため,定期的なフォローアップが必要である.IE治療後の外来フォローアップの要点としては,自覚症状や発熱の問診を行い,再発の有無,弁機能不全の進行または残存弁機能不全による心不全の有無や,心機能を評価することがあげられ,慢