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果が報告されたが221),疣腫の可動性,場所,大きさの変化,菌種,塞栓歴,人工弁IEかどうかといった点を検討して,手術を判断することが重要である.なお,重度の弁機能異常を伴う10 mmを超える疣腫を有する自己弁IE(大動脈弁,僧帽弁)患者では,早期手術群と通常治療群で6ヵ月以内の総死亡率には差がなかったが,6週間以内の塞栓症の有無に有意差を認めており39),早期手術が推奨される. 2.5 中枢神経合併症症例の手術時期 (推奨表15,図7) IEに高率に合併する中枢神経合併症を伴う症例では,適切な手術時期に関する一貫した推奨はいまだない496).一般的に,人工心肺時のヘパリン投与による,脳梗塞の出 血性変化や,出血性脳合併症病変の拡大,新規脳出血などが懸念される.手術時期の違いによるリスクベネフィットを循環器内科,感染症内科,放射線科,脳神経内科,脳外科,心臓血管外科などで構成されるIEチームで適切に考慮したうえで治療戦略を検討する必要がある. 2.5.1 脳梗塞合併例 脳梗塞合併例で疣腫が残存している症例はさらなる塞栓症リスクが高いと考えられ,抗菌薬治療による待機中全身状態の悪化を伴う可能性があり,手術適応のある症例に関しては,適切な全身状態での早期手術が推奨される 497). a. 脳梗塞の範囲が小さい症例 早期手術による脳神経症状の悪化の頻度は低く,むしろ抗菌薬による手術待機中に全身状態の悪化するリスクのほうが高く,早期手術のメリットが大きいとされている196, 240, 498-503).NIHSS≦10の脳梗塞症例では,IE診断後14日以内に手術を施行した場合はそれ以外の場合に比べて予後が良好であったという報告があるが,その多くがNIHSS≦3 の症例であったことに注意が必要である504).さらに,10 mm以上の疣腫を有する患者に対する待機手術では,有意に脳塞栓が増加することも知られている498).特に,一過性脳虚血があった場合は遅滞なく手術することが推奨される 41). b. 広範囲脳梗塞やNIHSS≧11の重症脳合併症症例 外科的治療群も保存的治療群も予後不良であったとの報告がある504).したがって,昏睡やヘルニアを伴う広範囲脳梗塞(脳出血も含む)はいずれにせよ予後不良であると考えられ,手術に伴う脳神経症状のさらなる悪化の可能性も高く,手術の可否を慎重に判断する必要がある.また,生命予後が不良とまでは言えない広範囲脳梗塞(半身麻痺など)についても,急性期には出血性変化や脳浮腫の進行などによる脳神経症状悪化の可能性があることや,早期手術の安全性を示す文献はきわめて限られていることから,少なくとも脳神経症状が安定するまで抗菌薬治療を優先する. 2.5.2 出血性脳合併例(脳出血,SAH,硬膜下血腫) (関連するシステマティック・レビューとして「CQ2 脳出血を合併した感染性心内膜炎例では,適応があれば4週間以内に手術を行うことが推奨されるか?」参照) 出血性脳合併症(脳出血,SAH,硬膜下血腫)を伴う感染性心内膜炎に対しては,これまで4週間の待機が推奨されていたが40, 225),出血性脳合併症の診断後4週間の手術待機が困難な症例も多く,個々の症例に応じてより適切な 推奨表15 脳合併症IE 患者における開心術の決定と手術時期の推奨とエビデンスレベル 適応推奨クラスエビデンス レベル 脳合併症を有する患者に対してIE チームによる手術時期の決定を行う *1 I B 脳合併症を有する患者に対して心不全や治療抵抗性感染,膿瘍,塞栓症リスクなどがない場合は抗菌薬治療を優先し,必要時に手術を検討するI B開心術を必要とし,各種リスク *2 を有し早期心臓手術を必要とする患者で,無症候性脳塞栓や一過性脳虚血発作や小範囲非出血性脳梗塞合併患者に対して遅延なき手術を行うI B各種リスクを有し早期心臓手術を必要とする患者で,生命予後が不良とまで言えない広範囲非出血性脳梗塞を伴う場合は,抗菌薬治療を優先し神経症状が安定した場合に手術を考慮するIIa C各種リスクを有し早期心臓手術を必要とする患者で,脳出血を伴う場合,神経学的所見が重症(例:昏睡,脳ヘルニアなど)でなく,かつ脳出血の拡大が画像上否定されている場合は,脳出血発症後2 週間以内の手術を考慮するIIa C循環状態が安定し,各種リスクを有し早期心臓手術を必要とする患者で,脳出血を伴いさらに画像上脳出血の拡大が見られる場合は,原則として脳出血発症後4週間以上の抗菌薬治療を先行するIIa B *1内科医(循環器内科,感染症内科,神経内科など)と外科医(心臓血管外科,脳神経外科など)によって構成される診療チーム*2各種リスク:心不全,治療抵抗性感染,膿瘍,塞栓症などIE:感染性心内膜炎