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などの疾患を背景に,凝固系の活性化が起き,その結果フィブリン血栓による臓器不全や,血小板と凝固因子消費に伴う重度の出血を引き起こす307, 308).特に敗血症性DICでは,強い凝固系の活性に対して線溶系の活性が弱く,線溶抑制型DICのパターンを呈し,微小循環障害により重篤な臓器障害を起こすことが多い309).DICはIE患者の1~ 32%に合併することが知られており198, 310, 311),過去の研究ではDICを起こした場合の予後は不良で,院内死亡率は27~50%と高いことが示されている198, 310). DICの診断基準には,旧厚生省DIC診断基準,国際血栓止血学会(ISTH)DIC診断基準,日本救急医学会播種性血管内凝固基準(JAAM-DIC),sepsis-induced coagulopathy(SIC)診断基準,日本血栓止血学会DIC診断基準など複数公開されている312-316).日本版敗血症性診療ガイドライン2024(J-SSCG2024)では,DIC診断のゴールドスタンダードはないことから早期診断や治療介入の判断にJAAM-DICやSIC診断基準を用い,確定診断や予後・重症度予測にはISTH-DIC診断基準を用いるなど,目的に応じて使い分けることを推奨している317). DIC治療の要は原疾患の治療であり,DICを起こしたIE患者に弁置換術を行うことによってDICが改善された報告もある318). 敗血症性DICに対するアンチトロンビン(AT)製剤やリコンビナント・ヒトトロンボモジュリン(rh-TM)製剤が有効な可能性がある.AT製剤は,敗血症性DIC患者にヘパリンを併用しない高用量のAT製剤投与が死亡率を低下させる報告や,AT活性値が70%以下の敗血症性DIC患者にATを投与した場合,生存率を改善させる報告がある319, 320).また,rh-TM製剤は,敗血症性DIC患者のDIC改善に効果をもたらす可能性がある321).ガイラドラインにおけるこれらの薬剤の使用はJ-SSCG2024 では弱推奨となっているが,敗血症診療国際ガイドライン2021では記載がなく,国によって推奨にはばらつきがある317, 322).今後のさらなる研究が待たれる. 7 化膿性脊椎炎 2023ESCガイドラインでは脊椎椎間板炎がIE診断の小基準に含まれている11)ように,IEの播種性病変として化膿性脊椎炎が知られており,血行性感染によって椎骨と椎間板に影響を及ぼす323).IE患者に化膿性脊椎炎が合併するのは5~10%程度であり,化膿性脊椎炎の患者にIEがみられるのは10~30%程度とされている131, 311, 324-326).化膿性脊椎炎で合併していたIE患者の36%は重度の弁破壊により手 術適応となった報告もあり,化膿性脊椎炎を認めた際には血液培養検査およびTTE検査でのIE評価が必要である327). 原因となる微生物は黄色ブドウ球菌が最も多いが,その他にレンサ球菌や腸球菌,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌でもみられる131, 323, 324, 327). 主な症状として背部痛や発熱がみられることが多い324, 325, 328).神経症状として知覚異常,筋力低下や麻痺,神経根症状を呈することもある329).また,脊椎炎は硬膜外膿瘍や腸腰筋膿瘍を合併することも多く,特に激しい痛みの場合は硬膜外膿瘍を疑う必要がある326, 330).IE患者で持続する背部痛・腰痛があれば化膿性脊椎炎の合併を検索することが望ましい. 脊椎炎の画像評価には,MRIと18F-FDG PET/CTが有用である.MRIの感度は高く,メタ解析では脊椎椎間板炎の検出に関して感度85%,特異度66%であった132).感染初期には偽陰性になることもあるため,疑わしい場合には期間を開けて再検査をする必要がある133). 18F-FDG PET/ CTは感度95%,特異度88%と優れた感度・特異度を持っている132).しかし,保険適用がないこと(2026年3月時点)は留意点である.CTは椎体炎の検出に関して感度67%,特異度50%であり331),MRIと比較すると下がるため,これらの検査ができない場合の代替検査となる. 血液検査ではCRPの上昇や赤血球沈降速度の亢進を認めるが,非特異的である330).確定診断には生検が必要であり,特に血液培養が陰性である場合には,CTガイド下針生検や外科的生検を検討するべきである323, 330). 治療には抗菌薬治療と外科的治療がある.抗菌薬治療は原因菌と,抗菌薬の感受性によって選択する.脊椎炎の治療は4~6週間程度行われることが多いが,IEと脊椎炎の合併例であっても,同等の治療期間で良好な経過を辿ることが多い323, 324, 332).ただし,黄色ブドウ球菌やCandida属真菌が原因菌である場合や,脊椎炎が硬膜外膿瘍や腸腰筋膿瘍を形成している場合には,より長期的な治療期間が必要となる324, 333).表17にあげたような場合は,外科的治療を検討する必要がある323, 329, 334).IEに脊椎炎を合併した場合でも,死亡率は変わらないことが示されているが,在院日数の延長につながる可能性がある131, 328, 335). 表17 感染性心内膜炎における化膿性脊椎炎に対して外科 的治療を検討すべき例• 診断未確定の場合• 適切な抗菌薬治療に対して効果が乏しい場合• 脊椎変形進行による脊椎の不安定性がある場合• 脊髄または馬尾の圧迫により進行性の神経障害をきたした場合