p.28 抽出テキスト
IEの場合,集中管理も含めた絶食下で持続点滴中の状態が想定されるが,その場合でも糖分を含有した補液は避けるべきである. 18F-FDG静注60分~(報告により90分または120分)後に心臓を含めた体幹部を撮像する.肺や腹腔臓器などを含めた体幹部撮像は感染性塞栓の診断に有用であるが, 18F-FDGは脳に生理的に取り込まれるため脳病変についての診断は困難となる136).周囲への被ばくの懸念のため,静注から撮像終了まで管理区域内に留まるルールを設定している施設が多い. 18F-FDGは活動性炎症病変の検出精度が高く,2023 Duke-ISCVID診断基準では18F-FDG PET異常集積が画像診断における大基準の1つになっており,2023 ESCガイドラインでもPVEが疑われる場合は推奨クラスI,レベルB, CIEDが疑われる場合はクラスIIa,レベルB,心外末梢病変の検出目的の脳および体幹部撮像がクラスI,レベルCである11, 17).特に人工物由来の感染に対する検出精度が高いことが知られており, 18F-FDG単独での診断精度についてのメタ解析では,PVEやCIEDに対して特に高く,PVEで感度87%,特異度84%,CIEDで感度87%,特異度94%であった124, 137-139).LVADを対象としたメタ解析でも感度95%,特異度91%と高い診断能であった140).しかしながら,NVEに対する診断精度は高いとは言えない.NVEによるIEに対するメタ解析やNVEに限定したサブ解析では,感度11~31%でバラツキが顕著であったが,特異度は90%台と高い結果であった138, 139, 141, 142).これらの結果は上述の食事制限の有無が一因とも考えられる.また,十分な食事制限が行われたとしても心筋虚血や脂肪組織,心房細動に随伴する心房壁への集積など炎症を示唆しない所見が得られることも知っておく必要がある143).さらに,活動性炎症とは言えない肉芽腫性変化や,人工弁などの材質によっては非特異的集積が見られることも知られており,注意を要する144).術後の一定期間(報告により3ヵ月程度)は弁周辺やペースメーカなどデバイスの埋没部も一過性の炎症や肉芽腫性変化を伴って集積が見られるため,IEとの鑑別に注意を要する.それら良性変化は全周性やびまん性の集積を呈することが多く,感染では限局性の集積を呈する報告がある145). 18F-FDG集積はstandard uptake value (SUV)という定量値が得られるが,最大SUV 4~7程度で感染を示唆する所見とするメタ解析がある146). 5.4.2 67Ga-シンチグラフィ,SPECT/CT 放射性ガリウム(gallium-67: 67Ga)は現在わが国で不明熱の精査を含め炎症性疾患に唯一保険適用されている. 67Gaの炎症病変への集積機序は諸説あるが,明らかではない.不明熱に対しての診断精度は高くはない.心病変を含むサルコイドーシスの診断では報告が多いが,IEに対して はまとまった研究報告やメタ解析はないが,SPECTで検出しえたとする症例報告が多い147, 148). 5.4.3 標識白血球シンチグラフィ,SPECT/CT 白血球が感染,炎症巣へ遊走することを利用し,白血球に放射性医薬品を標識し体内動態を追跡・画像化する技術である. 18F-FDGと並んで,欧米では高い診断能があるというコンセンサスを得ている18).歴史は古く1980年代にはSPECT撮像に適している99mTcをヘキサメチルプロピレンアミンオキシム(hexamethylpropylene amine oxime: HMPAO)をキレートとして白血球に標識する技術が実用化されている.当初の対象は急性感染症や骨髄炎などであり,当時の核医学撮像技術では十分な分解能が得られず,また採血により白血球を分離する過程の煩雑さから普及には至らなかった. 99mTc-HMPAO自体も脳血流評価目的で保険認可されているが,IEについては未承認である.利点は18F-FDGと異なり,白血球の遊走を直接画像化できるため,非特異的所見を得にくいことである.メタ解析は18F-FDGと比べて報告が少ないが,感度80~86%,特異度97~100%であった137, 150).これらの診断精度は吸収補正CT併用における臓器オリエンテーションが大きく貢献している可能性も高い.SPECTは国内では依然単体機が使用されることもあるが,IE診断はSPECT/CT機による撮像が望ましい.一般には造影CTと合わせて検査することで,診断能が向上することが知られており,マルチモダリティで診断を進める方針が重要と考えられる. 5.5 その他の画像診断 5.5.1 血管造影 冠動脈疾患が存在すると心臓手術のリスクが高くなるため,待機的心臓手術の際に冠動脈病変の評価が必要となることが多い.一方,感染性心内膜炎で外科手術を施行する際に,術前検査として冠動脈造影検査を施行すべきかどうかについては議論がある.疣腫により冠動脈塞栓症を起こした例や,冠動脈疾患の危険因子を有する例では,心エコー図で大動脈弁に付着する大きな,あるいは可動する疣腫を認めないという条件下で,冠動脈造影検査の施行が勧められる.その反面,緊急手術が必要な例,大動脈弁の疣腫が塞栓症を起こす危険性が高い例では施行しないことが勧められる11, 120, 151).先行研究からのメタ解析では,冠動脈造影検査の結果をうけて18%の症例が冠動脈バイパス術を同時に施行している152).この研究報告では,カテーテ