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p.27 抽出テキスト

ほぼすべて自由呼吸下で撮像する.問題点は,超音波, CT,MRIと比してコストが高いことである. 5.4.1 18F-FDG PET/CT PETは陽電子を放出する放射性医薬品を体内に投与し

ガンマ線で画像化する技術である.SPECT製剤と比べて物理学的半減期が短いため被ばくが少なく,高エネルギーによる分解能の高い画像が得られる.多種に及ぶPET薬剤の中で, 18F-FDGが国内外で主にがん診療において広く用いられている. 18F-FDGはグルコースの類似物質をフッ素18で標識した薬品で,体内でグルコースとしての動態を示す.グルコーストランスポーターを介して心筋細胞内に取り込まれ,リン酸化を受けるが,それ以上代謝されず停留することで糖代謝活性を反映した画像が得られる.

18F-FDG PETは循環器領域において,わが国では心筋バイアビリティ判定,心サルコイドーシスや血管炎で保険適用があるが,IEに対しては2026年3月時点で未承認である.がん診療における18F-FDG PET検査は通常5時間以上の絶食が必須とされ,糖尿病では検査当日のインスリン使用を避けるよう推奨されている.しかし,IE診断の場合は病変検索対象が心臓または心臓周囲のため,5時間程度の絶食では心筋の糖代謝による18F-FDG集積(生理的集積)が生じる.そのため炎症集積との判別がきわめて困難となる.現在その生理的集積を抑制する唯一の方法は,心臓サルコイドーシス診断で用いられる長時間絶食および24時間の炭水化物制限プロトコールである(詳細は日本心臓核医学会提唱の前処置プロトコール134)参照).以前はヘパリン静注の有用性も報告されたが,現在は必須ではない135).

表10 IEの診断に用いられる核医学検査の特徴

18F-FDG WBC 標識67Ga

PET or SPECT PET SPECT or Scintigraphy SPECT or Scintigraphy食事制限・前処置必須(心臓サルコイドーシスプロトコルに準ずる)不要不要

核種・製剤18F 99mTc 67Ga 111In(インジウム)核種半減期110分6時間(99mTc),67.4時間(111In) 78時間主な撮像タイミング静注後60~120分で撮像静注後4,24時間で撮像静注後48~72時間で撮像心電図同期不要不要不要主たる保険適用悪性腫瘍・心サルコイドーシス・大血管炎・心筋バイアビリティなし悪性腫瘍・炎症疾患IEに対する保険適用未未可

注意事項非密封線源管理区域におけるルールのため静注から撮像まで検査室内に留まる必要あり採血で得られた血清から白血球を分離し放射線医薬品に標識する手技が煩雑腸管集積を抑制するため下剤を使用する場合があるが,IE診断目的では不要IE:感染性心内膜炎

推奨表2 IEとその合併症診断における心エコー図以外の画像診断の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

自己弁IE,人工弁IE の症候性患者において,塞栓症やその他の診断小基準の検索のために,全身CT を実施するI B

IE が疑われ,特に人工弁やデバイス植込み後の患者で,他の方法で確定診断がつかない場合に,18F-FDG PET/CT を考慮する(IE に対する保険適用はない) IIa A (人工弁感

染性心内膜炎[PVE] や心臓植込み型電子デバイス[CIED]に対して) C (自己弁感染性心内膜炎[NVE] に対して)

IE が疑われる患者で,他の方法で確定診断がつかない場合,実施が可能であれば標識白血球シンチグラムまたはSPECT/ CT を考慮するIIa C IEで手術適応と判断された患者において,術前検査として冠動脈CT を考慮してもよいIIb C IE が疑われる患者で,他の方法で確定診断がつかない場合に,ガリウムシンチグラフィを考慮してもよいIIb C IE:感染性心内膜炎