p.24 抽出テキスト
5 画像検査 5.1 心エコー図検査(推奨表1) 推奨表1 IEにおける心エコー図検査の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル IE が疑われる全症例に対してTTE を行うI B IE が疑われる症例で,TTE で十分な画像が得られない症例にTEE を行うI B IE が疑われる症例で,人工弁例またはデバイス留置例にTEE を行うI B IE が疑われる症例で,TTE が陰性であった場合にTEE を行うI B初回TTE/TEE が陰性であっても臨床上IE が疑わしい症例に3~7 日後の再検査を行うI C新たな合併症が生じた際にフォローアップTTE/TEE を行うI B治療効果を判定するためにフォローアップTTE/TEE を行うI C 治療終了時TTE を行うI Cブドウ球菌,腸球菌,レンサ球菌属による菌血症例に対してTTE/TEE 検査を考慮するIIa B TTE が陽性である症例に対してTEE(右心系弁IE のみの症例を除く)を考慮するIIa C無症状の心内合併症の出現を評価するためのフォローアップTTE を考慮するIIa B IE:感染性心内膜炎,TTE:経胸壁心エコー図,TEE:経食道心エコー図 IEを疑う症例では,血液培養陰性例も含め,全例で心エコー図検査を施行するべきである81-84).心エコー図検査は,IEの診断,治療方針の決定,治療効果の判定,予後推定に最も重要な役割を果たす画像診断法である. 5.1.1 陽性所見 2023 Duke-ISCVID診断基準による画像診断の基準では,1疣腫(vegetation),2弁穿孔(valvular/leaflet perforation),3弁瘤(valvular/leaflet aneurysm),4膿瘍(abscess),5仮性瘤(pseudoaneurysm),6心内瘻孔(intracardiac fistula),7新たな弁逆流の出現(significant new valvular regurgitation,既存の弁逆流の悪化や変化だけでは不十分),8人工弁の新たな弁周囲部分的離開(new partial dehiscence of prosthetic valve) (人工弁周囲逆流)があげられている17).ESC2023のガイドラインでは,これらに加えて弁尖の肥厚(leaflet thickening)が陽性所見としてあげられているが,偽陽性が増加するため,本ガイドラインでは陽性所見としなかった11). 5.1.2 疣腫の意義 疣腫は,弁またはその他の心臓組織の心内膜,心臓関連デバイスやその他の心血管内人工物に付着する可動性を有する腫瘤で,解剖学的に他に説明ができない構造物と定義される17).疣腫を疑う所見がみられた場合,その大きさ,形状,付着部位,可動性,エコー輝度などを観察する.疣腫の大きさ(最大径)は,手術の適応の判断に重要な指標となる(第5章 外科的治療を参照).疣腫の性状や可動性から塞栓症のリスクが予想できるが,限界もある65). 内科的治療後の疣腫の大きさや可動性の変化を観察することは,抗菌薬の効果判定に有用である.抗菌薬治療により,約30%の症例では疣腫エコーが消失するが,残りの症例では残存する66).したがって,治療後に疣腫エコーがみられた場合でも,必ずしも治療無効や再発とは限らない. 疣腫と鑑別を要する構造物としては,血栓,ランブル疣贅,逸脱弁尖,弁の粘液腫様変化,腱索断端,人工弁の縫合糸や弁座,乳頭状線維弾性腫などの腫瘍,無菌性疣腫などがあげられる. 5.1.3 診断精度 心エコー図検査によるIEの診断精度は,超音波診断装置の進歩とともに向上している.これまでの報告では,経胸壁心エコー図(TTE)による疣腫検出の感度は自己弁で70%,人工弁で50%程度,経食道心エコー図(TEE)による疣腫検出の感度は自己弁,人工弁ともに90%以上である.疣腫検出の特異度はTTE,TEEともに90%程度と高い.一方,弁輪周囲膿瘍検出の感度に関しては,TTEでは30~ 50%と低く,TEEでは報告により差があり50~90%である.弁輪周囲膿瘍検出の特異度はTTE,TEEともに高く90%以上である.画像不良例,小さな疣腫(<3 mm),人工弁例,弁の変化(逸脱,肥厚,石灰化など)を有する症例,ペースメーカなどのデバイス留置例では検出率が低くなる.そのため,心エコー図検査から得られたIEを疑う所見を,症