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p.18 抽出テキスト

確診と判定されなくても,可能性群,あるいは否定的群でも臨床的にIEが否定できなければ,基本項目の再検のほかに必要な検査を追加して,2023 Duke-ISCVID診断基準を満たすか再度検討する.IEは急速に重症化して予後不良となることがあるため,確診が得られなくてもIEの可能

性が高いと考えられる症例では,IEを念頭に治療方針を立てたほうがよい.

表7 IEの診断基準(2023 Duke-ISCVID 診断基準)

確診A. 病理学的基準(1) 以下のいずれかの検体から,活動性感染性心内膜炎の臨床徴候に関連した病原微生物が同定aされる場合

疣腫(vegetation),心臓組織,摘出した人工弁や縫着リング,上行大動脈グラフト(弁病変伴う場合),心臓植込み型電子デバイス(CIED),動脈塞栓または(2) 以下のいずれかの部位に,組織学的に活動性心内膜炎b(急性c,または亜急性/慢性dのいずれでも)を認める場合.疣腫,心臓組織,摘出した人工弁や縫着リング,上行大動脈グラフト(弁病変を伴う場合),CIED,動脈塞栓B. 臨床的基準(1)大基準2つまたは(2)大基準1つおよび小基準3つまたは(3)小基準5つ

可能性A. 大基準1つおよび小基準1つまたはB. 小基準3つ

否定的A. IEを疑う徴候/症状を説明できる確定的な代替(IE以外の)診断e

またはB. 4日間未満の抗菌薬治療で再発なしまたはC. 4日未満の抗菌薬投与後の手術時または剖検時にIE の病理学的所見を認めないまたはD. 上記「可能性」基準にあてはまらない

a.  培養,染色,免疫学的手法,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR),あるいはアンプリコンシークエンス(16S,18S,内部転写スペーサー),メタゲノム(ショットガン)シークエンス,または新鮮組織やパラフィン包埋組織でのin situ ハイブリダイゼーションを含むその他の核酸ベース検査による同定.分子生物学的手法や組織染色(グラム染色,ジアスターゼ処理過ヨウ素酸シッフ染色,グロコット染色,あるいはWarthin- Starry,Steiner,Dieterle などの銀染色)は慎重に解釈する必要がある.特に既往にIEを有する患者では,こうした検査は治療成功後も長期間陽性を示しうる.組織採取前の抗菌薬投与も微生物の形態や染色性を大きく変化させうる.検査の特異性は複数の要因に左右され,偽陽性も起こりうる.したがって検査結果の解釈は,常に臨床的および組織学的に活動性心内膜炎を示す証拠と照らし合わせて行うべきである.弁やワイヤーからPCRで皮膚常在菌が単回検出されたのみで,追加の臨床的・微生物学的裏付けがない場合は小基準とすべきであり,確定IEとはみなさないb.  活動性心内膜炎(active endocarditis):疣腫,弁尖破壊,あるいは自己弁や人工弁周囲組織における種々の程度の炎症細胞浸潤と修復像.多くの標本では両者が混在してみられるc.  急性心内膜炎(acute endocarditis):自己弁や人工弁の疣腫または心臓/大動脈病変で,顕著な炎症が存在するが,明らかな修復像や組織化変化が乏しいものd.  亜急性/慢性心内膜炎(subacute/chronic endocarditis):自己弁や人工弁の疣腫または心臓/大動脈病変で,修復もしくは修復過程を示す所見(成熟した肉芽組織や線維化,さまざまな単核球浸潤,石灰化)を伴うもの,石灰化は損傷組織や疣腫で急速に生じうるほか,もともとの弁膜疾患に由来し,IE発生の基盤となった場合もあるe.  IEの徴候・症状を説明できる確定的な代替診断(firm alternate diagnosis)は,微生物学的原因または非微生物学的原因のいずれでもよい微生物学的代替診断:1非典型的IE原因菌による菌血症の明確な感染源が存在する,2菌血症が速やかに消失する,3心エコー図など心臓画像でIEの証拠がない,以上3条件を満たす場合非微生物学的代替診断:1心エコー図など心臓画像の異常所見を説明できる非IE性疾患(例:マランティック心内膜炎,非細菌性血栓性心内膜炎)が存在する,2IEを支持する微生物学的証拠が存在しない場合