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p.16 抽出テキスト

第2章 診断

1 IEの診断基準

IE の病像は多岐にわたるため,実臨床では素因,発症契機,症状,画像診断,血液培養所見,臨床経過などを総合的に判断して診断を確定する.その診断に活用されるのがDuke診断基準であり,病理学的基準と臨床的基準から構成されている.病理学的基準を満たせばIEの確定診断となる.病理学的基準を満たさない場合,あるいは病理学的所見が得られない場合には,大基準と小基準からなる臨床的基準に基づいて検討し,大基準と小基準を満たす項目によって,確診,可能性,否定的と判断される.このDuke診断基準については,診断技術の発展や時代による病像の変化にあわせて,これまでいくつかの改訂版が発表されている.最初のDuke診断基準が1994年に発表された後14),2000年に一部改訂された修正Duke診断基準が発表

された15).2015年には欧州心臓病学会(ESC)のガイドライン16)において2015 ESC修正Duke診断基準が発表され,さらに2023年に国際心臓血管感染病学会(ISCVID)から2023 Duke-ISCVID診断基準17)が発表された.このほかにも,2023年ESCガイドライン11)において2023 ESC 修正Duke診断基準が発表された.

2023年発表の2 つの診断基準には何点か異なる点があり,両者の大まかな対比を表6 に示す11, 17).2023 Duke- ISCVID診断基準は,より広範な微生物(特に培養陰性IEの原因となりうるもの)を「典型的IE病原体」として取り入れ,外科的所見を主要基準に追加するなど,より包括的な変更を加えることにより,診断感度の向上を目指している. 2023 ESC 修正Duke診断基準は,従来の基準の構造を維持しつつ,画像診断(弁尖肥厚,核医学,CT)の進歩を反映したいくつかの修正を加えている.両基準とも,画像診断の進歩を診断に取り入れる点で共通しているが,微生物

表6 2023 Duke-ISCVID 診断基準と2023 ESC 修正Duke 診断基準の主な相違点

項目2023 Duke-ISCVID 診断基準2023 ESC 修正Duke 診断基準主な相違点

大基準:微生物学的「典型的IE病原体」リストの拡大.

Enterococcus faecalisは常に典型的な病原体として扱う.Staphylococcus lugdunensis, Abiotrophia属,Granulicatella属,Gemella属, Tropheryma whippleiなどを追加Enterococcus faecalisは常に典型的な病原体として扱う(ISCVIDと同様).その他の典型的な病原体のリストはISCVIDほど大幅には変更されていないISCVID のほうが「典型的IE病原体」

のリストがより広く網羅

大基準:画像診断的以下の所見を主要基準に追加または明確化:・ 弁変性/新規の逆流の定義(心エコー図/心臓CT)・ PET/CT画像による自己弁/人工弁/その他人工

物の異常な 18F-FDG集積以下の所見を主要基準に追加:・ 弁変性/新規の逆流の定義(心エコー図/心臓CT)・ PET/CT画像による自己弁/人工弁/その他人工

物の異常な 18F-FDG集積・ WBC SPECT/CTを継続採用ISCVIDのほうが,より詳細にIE所見を定義.ESCではWBC SPECT/CTを採用

大基準:外科的「術中IEの肉眼的証拠」を新しい主要基準として

追加なしISCVIDは外科医による肉眼的所見を明確に主要基準として取り入れた

小基準:素因経カテーテル弁留置/修復,CIEDなどを素因として基準表に追加CIEDの存在を素因として追加ISCVIDはより具体的な心臓デバイスをリストアップ小基準:血管現象脳膿瘍,脾膿瘍を血管現象として追加血行性骨関節合併症(脊椎椎間板炎など)を血管現象として追加血管現象の追加項目に違いがある(2023 Duke-ISCVID診断基準. 2023 17),2023 ESC修正Duke診断基準. 2023 11)を参考に作表)