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第1章 総論 与基準の変更後の疫学的研究を考慮して,予防的抗菌薬投与の推奨の見直しを行った. 8 先天性心疾患例におけるIEの予防について,小児と成 人で整合性を図った. 9 診断基準の小項目に含まれる脾膿瘍をはじめ,脳梗塞以外の全身性塞栓症に関する記載を追加した. 10. 右心系IEの治療に関する推奨を示した. 11. 人工血管感染に関する記載を追加した. 12 脳出血を合併したIE患者の手術時期について見直しを 行った. 1 感染性心内膜炎(IE)とは IEは,弁膜や心内膜,大血管内膜に細菌集蔟を含む疣腫(vegetation)を形成し,菌血症,血管塞栓,心障害などの多彩な臨床症状を呈する全身性敗血症性疾患である. IEはそれほど発症率の高い疾患ではないが,いったん発症すると的確な診断のもと,奏効する治療を適切に行わなければ多くの合併症を引き起こし,ついには死に至る重篤な疾患である. 発症には,弁膜症や先天性心疾患に伴う異常血流や,人工弁やペースメーカをはじめとしたデバイスなどの異物の影響で生じる非細菌性血栓性心内膜炎(NBTE)が重要とされる(図1).すなわち,NBTEを有する例において,歯科処置,耳鼻咽喉科処置,婦人科処置,泌尿器科処置などにより一過性の菌血症が生じると,NBTEの 部位に菌が付着,増殖し,疣腫が形成されると考えられている.したがって,IEは何らかの基礎心疾患を有する例にみられることが多い.弁膜症や先天性心疾患などの基礎心疾患を有する例で,尿路感染症,肺炎,蜂窩織炎などの菌血症を誘 図1 IE 発症の過程 血小板活性化血小板細菌単球好中球フィブリン 内皮障害部位に血小板付着=非細菌性血栓性心内膜炎(NBTE)の成立炎症、組織因子の産生細菌増殖フィブリン形成 疣腫の形成組織破壊細菌の付着