p.13 抽出テキスト
ネリスト)が修正デルファイ法(RAND法)で匿名にてオンラインで評価(1点から9点)した2).1~3点は同意できない(1点:完全非同意),4~6点は不確定,7~9点は同意できる(9点:完全同意).7点未満の場合,理由を記載した.得点の中央値,見解不一致指数(disagreement index: DI)を算出した.それをもとにパネル会議で議論し,推奨文,グレーディングの修正を行ったうえで再投票を行った.中央値7以上,DI<1,かつ重大な意見がない場合はパネル会議で合意形成とし,この過程を合意ができるまで最大3回繰り返して合意形成を行った. パネル会議では,草案をもとに益と害のバランス,エビデンス総体の確実性,患者の価値観,患者が支払うコスト,利用者の容認性,実行可能性を検討した.たとえエビデンスの確実性が高い利益があっても,重大な副作用などの害や負担がそれを凌駕する場合は推奨できない.医療費がかかりすぎたり,患者の数は多いが,その治療ができる施設が限られている場合には,一般的な推奨になりにくい.決定した推奨文をもとに,Evidence to decision tableに準じて解説文を作成した4). 推奨の強さはGRADEシステムでは「施行すること」「施行しないこと」の「強い推奨」「弱い推奨」の4 つに分けて表現される(表4 2, 3)が,1に近い2もあれば,ほぼ中間になる2もある).エビデンス総体の確実性を表5 2)に示す.さらに,症例ごとに,患者の価値観,コスト,リソース などを考慮して個別に決定されるべきであり,推奨にすべての医療者,患者が従わなければならないというわけではないことは明記する. 主な改訂ポイント 本ガイドラインにおける変更点は,主には診断基準の改訂部分と関連している.前回改訂からの主な 更新点を以下に示す. 1 IEの診断基準として2023 Duke-ISCVID診断基準を掲 載した. 2 心エコー図検査以外の画像診断に関して,より詳細に 推奨を示した. 3 診断基準の改訂に伴い,血液培養における検査間隔に 関する推奨を変更した. 4 診断基準に新たに加えられた微生物検出法に関する記 載を追加した. 5 ペースメーカなどの心臓植込み型電子デバイス(CIED) に関連したIEに関して,より詳細に推奨を示した. 6 経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)などの経カテー テル治療に関連したIEの予防・治療に関する記載を追加した. 7 欧米のガイドラインにおけるIE予防のための抗菌薬投 表4推奨のグレーディング:推奨の方向,推奨の強さ,エビデンス総体の確実性の決定 推奨度推奨の強さ表現基準意義 1 強い推奨 すること,または,しない ことを推奨する介入による望ましい効果(利益)が望ましくない効果(害,負担,コストなど)を上回る,または,下回る確実性が強いその状況において,ほとんどの患者は推奨された方針を望むだろう.希望しない患者は少数にすぎない 2 弱く推奨 すること,または,しない ことを提案する介入による望ましい効果(利益)が望ましくない効果(害,負担,コストなど)を上回る,または,下回る確実性が弱いその状況において,多数の患者は提案された方針を望むだろう.しかし,そうでない患者も少なくない (日本循環器学会. 2022 3)(日本医療機能評価機構.Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 2)を参考に作表)) 表5エビデンス総体のエビデンスの確実性(質) 確実性定義A:(高)効果の推定値に強く確信があるB:(中)効果の推定値に中程度の確信があるC:(低)効果の推定値に対する確信は限定的であるD:(とても低い)効果の推定値がほとんど確信できない注釈:アウトカムには,複数のアウトカムが想定される.あるアウトカムを吟味した研究が2 つ以上ある場合,そのエビデンス総体の確実性を判定する.各アウトカムのエビデンス総体の確実性の判定ののち,すべてのアウトカムに関するエビデンス総体の確実性を決定した(日本医療機能評価機構.Minds 診療ガイドライン作成マニュアル2020 Ver. 3.0.(p. 117 表4-5) 2)より)