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p.122 抽出テキスト

は,パラフィン切片では検出が難しく,菌量として塗抹染色でも確認できる程度でないと検出が困難である.

3.2 シークエンスによる微生物同定技術

細菌や抗酸菌であれば16S rRNA領域やgyrA領域の遺伝子を増幅し,真菌であれば18S rRNA領域やITS領域の遺伝子を増幅することで微生物の確認を行う.検出ができれば増幅された核酸の遺伝子配列を読み,PCR検査で菌種の最終確認を行う.組織から行う場合は,パラフィン切片では検出が難しく,菌量として塗抹染色でも確認できる程度でないと検出が困難である.

対象となる検体:・弁組織(人工弁含む)および疣種・膿瘍(弁輪周囲,心筋膿瘍,脊椎の生検材料含む)・ペースメーカのリード先端やポケット内容物など

3.3 全ゲノム解析による微生物同定技術

検体中にある大量の遺伝子情報を網羅的な解析を行い微生物の検出を行う検査である(メタゲノム次世代シーケンス[mNGS]).感染症を強く疑うが原因となる微生物の見当がつかない場合や,変異により従来の遺伝子検査では感度が落ちる場合に利用される.そのため,原因微生物の種類が見当つかない場合や薬剤耐性菌の確認も同時に行うことができる.しかし,1回測定あたりのコストは高額で,次世代シークエンス機器のある施設で行うため,多くの頻度で検査は実施できないことから,症例を絞って行う必要がある. 4 主な原因微生物の解説

4.1 Staphylococcus lugdunensis

今回のDukeの診断基準17)で新たに掲載された菌の1つ. S. lugdunensisは,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CoNS)の一菌種であり,ヒトの皮膚常在菌で創傷感染などを引き起こす.CoNSではあるものの黄色ブドウ球菌と同等の病原性を持つことに注意すべきである841).市中感染IEの原因菌として分離されることがあり,本菌が血培培養で検出された場合,IEを鑑別すべきである842, 843).臨床的には,弁膜が急性に損傷を受けている症例も多く,心不全を伴う重症例が報告されている844, 845).また,他のCoNSと同様に,人工弁やペースメーカ留置患者では,そのリスクが高くなることが知られている844).β-ラクタマーゼ産生株やメチシリン耐性株が存在するので,薬剤感受性検査の結果を確認する.また,外科的治療が必要となることも多い846).

4.2 緑色レンサ球菌(VGS)

VGSは次のグループに分類される;mitis group (S. mitis,S. sanguinis,S. gordonii,S. oralis ),anginosus group(S. anginosus,S. constellatus,S. intermedius), mutans group(S. mutans,S. sobrinus),salivarius group (S. salivarius).ただし,この中でanginosus groupではIEの発症は稀である.原因菌のうち,S. mutans,S. gordonii,S. sanguinis,S. mitis/oralisは,特に感染源がIEである可能性が高いとされる(Appendix図1) 847).なお,

Appendix 表4 血液培養陰性感染性心内膜炎の原因微生物の同定法(遺伝子検査)

検査方法*使用目的長所短所

PCR標的遺伝子による菌種同定多項目PCRは複数の微生物が一度に検出可能培養で発育が遅い,発育しない微生物の同定薬剤耐性遺伝子の検査を追加することで一部の耐性菌の確認が可能検査技術の習得および機器の準備が必要検体採取時の汚染の可能性パラフィン固定をすると感度が悪くなるので,ホルマリンや培養液は用いないで提出する実際の薬剤感受性はわからない

遺伝子シークエンス16S rRNAなどの遺伝子シークエンスによる菌種同定ほとんどの菌種同定が可能菌量がある程度(塗抹陽性例)必要全ゲノム解析微生物がもつすべての遺伝子情報の確認ができるほとんどの菌種同定が可能薬剤耐性遺伝子の確認が可能*組織や培養コロニーを用いる