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p.121 抽出テキスト

解釈には注意が必要である.

治療は単剤治療による失敗例が多く,通常は2剤または3剤による併用で行う.WHOの推奨として,IEの場合はリファンピシンとドキシサイクリンの併用を最低6週間,最初の2週間はゲンタマイシンを併用することを勧めている.

2.3.4 真菌症(カンジダ属とアスペルギルス属)

真菌によるIEはIE全体の2~5%を占め,致死率が高く,予後不良な疾患である.そのうちカンジダ属真菌の割合は53~68%で,アスペルギルス属真菌によるものは18~ 24%とカンジダ属真菌に比べると少ない203, 839, 840).

また,血液培養からアスペルギルス属真菌が分離される割合は,全血液培養のうち1%未満とかなり稀である.そのため,アスペルギルス属真菌による心内膜炎の診断は非常に難しい.ステロイドの投与歴や抗菌薬の長期投与,血液悪性腫瘍などの患者背景があり,(1→3)-β -D-グルカンやガラクトマンナンの測定により診断が行われることが多い80).本症におけるアスペルギルスIgG抗体検査の有用性は明らかではない3 遺伝子検査の活用(Appendix表4)

遺伝子検査は単一の微生物を標的とするPCR検査から,最初に細菌や真菌,抗酸菌などのレベルで微生物の確認を行い,検出された場合には続けて属レベルや科レベル,種レベルの解析を行って微生物を絞り込んでいくシークエンスによる同定検査がある.また近年では,全ゲノム解析による微生物の同定検査も行われるようになっている.

特に,遺伝子検査が最も役立つのは,抗菌薬の投与後や菌増殖が緩慢になり培養検査で検出ができない微生物の検出ができるところであるが,検査前確率が高い状態で微生物を絞り検査を実施していくことが理想的である.検体採取時の清潔操作に留意し,採取した検体は固定液を用いずに提出する.

3.1 PCRによる微生物同定技術

すでに血液培養などでIEの原因微生物が確定(または推定)している場合に,感染源となる膿汁や手術で採取された組織から直接微生物の確認を行う.組織から行う場合

Appendix 表3 血液培養陰性となる稀な感染性心内膜炎の原因微生物の同定法(抗体検査)

病原微生物内容長所短所文献

バルトネラ症(Bartonella spp.) IgM抗体陽性IgG抗体は単一血清で256倍以上,またはペア血清で4倍上昇感染症の確認検査として有用(培養に時間がかかる)ペア血清による抗体上昇の確認が必要.菌種により試薬や感度が異なる.薬剤感受性の確認ができない石和田稔彦.2012 835)

ブルセラ症(Brucella spp.) B. abortusは40倍以上B. canisは160倍以上感染症の確認検査として有用(培養検査は実験室内感染のリスクが高い)ペア血清による抗体上昇の確認が必要.菌種により試薬や感度が異なる.薬剤感受性の確認ができない. Yersinia enterocoliticaとの交差反応が存在する国立健康危機管理研究機構.ブルセラ症検査マニュアル第3版.2021 836)

Q熱(Coxiella burnetii)急性:II相の確認慢性:I相およびII相の確認感染症の確認検査として有用(培養ができない)ペア血清による抗体上昇の確認が必要.薬剤感受性の確認ができない東京都感染症マニュアル2018 838)

レジオネラ症(Legionella spp.)単一血清では抗体価256倍以上,ペア血清であれば,抗体価128倍以上でかつ4倍以上の上昇がみられた場合感染症の確認検査として有用(培養感度が悪い)ペア血清による抗体上昇の確認が必要.菌種により試薬や感度が異なる.薬剤感受性の確認ができない国立健康危機管理研究機構.レジオネラ症.2025 837)

アスペルギルス症(Aspergillus spp.) IgG抗体が10 AU/mL以上アスペルギルス症(Aspergillus spp.)

IgG抗体が10 AU/mL以上感染症(主に呼吸器)の確認検査として有用(培養感度が悪いため)菌種により感度が異なる.薬剤感受性の確認ができないIE診断における有用性は不明

(文献835-838をもとに作表)