p.118 抽出テキスト
1 抗菌薬と薬剤感受性に関する解説 1.1 薬剤感受性はどのように判定されるのか 1.1.1 薬剤感受性検査の基準と判断(Appendix表1821-824), Appendix表2) 薬剤感受性検査は治療効果を予測する場合に参考とする.日本では米国臨床検査標準化協会(CLSI)が作成している基準を参考に検査が実施されており,微量液体希釈法およびディスク拡散法の2つがある.微量液体希釈法では,最小発育阻止濃度(MIC)を測定している施設が多い825, 826).薬剤感受性検査結果は,S(感性)やI(中間耐性),R(耐性)に加えて,最近ではSDD(Susceptible-Dose Dependent,用量依存性感性)といった結果が報告されることがある.また,すべての微生物で薬剤感受性の判定基準(S,I,R)が Appendix 設定されているわけではないため,MIC値から薬効評価に必要な情報(体内動態やPK/PDの考え方など)を集めて薬効評価を行うことがある.薬剤感受性についての条件や解釈については,感染症専門医や微生物検査技師,薬剤師などの専門家に相談する. 1.1.2 耐性菌の確認検査 耐性菌検査のうち,遭遇する機会の多いESBL産生性E. coliやMRSAは標準的な感受性検査に加えて実施する. グラム陽性球菌に対してゲンタマイシンやストレプトマイシンの併用を行う場合があるが,streptococciやenterococciはアミノグリコシド系薬に元来耐性(内因性耐性)であるため,感受性検査の測定濃度レンジが異なる.たとえば,ゲンタマイシンではMICが512 μg/mLという高い濃度を測定し,耐性であればアミノグリコシド高度耐性菌(HLAR)と呼ばれ,併用効果が期待できない825). Appendix 表1 代表的な各種抗菌薬・抗真菌薬のPK/PD パラメータ PK/PD パラメータTime above/MIC Cmax/MIC Cpeak/MIC AUC/MIC 抗菌薬・抗真菌薬β-ラクタム系薬(ペニシリン,セフェム,カルバペネム,モノバクタム)エリスロマイシンクリンダマイシンアミノグリコシド系薬フルオロキノロン系薬ダプトマイシンメトロニダゾールアムホテリシンBリポソーム製剤テトラサイクリン系薬アミノグリコシド系薬フルオロキノロン系薬マクロライド系薬(クラリスロマイシン,アジスロマイシン)グリコペプチド系薬(バンコマイシン,テイコプラニン *)ダプトマイシンオキサゾリジノン系薬エキノキャンディン系薬トリアゾール系薬 * 特徴時間依存性殺菌作用と短い持続効果濃度依存性殺菌作用と長い持続効果AUC依存性殺菌作用と長い持続効果*テイコプラニン,ボリコナゾール,ポサコナゾール ,イサブコナゾールは,血中トラフ濃度を臨床的有効性のPK/PD パラメータとしている(文献821-824をもとに作表)