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p.11 抽出テキスト

改訂にあたって

「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン」は,2003年に初版,2008年と2017年に改訂版が刊行されている.多様な臨床像を示す全身性疾患で集学的治療と管理を要する感染性心内膜炎(IE)の特性から,当初から循環器内科だけでなく,心臓外科,小児循環器科,感染症科などさまざまな領域の専門家が参加してきた.特に,前回の2017年改訂版1)では,感染症や抗菌薬,脳領域のエキスパート,さらに,IEの発症を考える際に最も重要な領域を担当している歯科医師も参加し,欧米にみられない多種・広範囲の専門家で構成されたガイドライン作成班により改訂された.

今回,前回の改訂から10年近くが経過し,4回目の改訂を行うことになった.イメージングの進歩などによりDuke診断基準が改訂されたこと,弁膜症や先天性心疾患などの構造的心疾患に対する低侵襲治療や心内デバイス治療の普及によりIEの病態が多様化したこと,欧米で限定的にしか推奨されていない予防的抗菌薬投与に関して,それ以降のIE発症率のデータが発表され,予防に関して再考する時期であることなどが,改訂の理由と考えられる.なお,ガイドラインのタイトルについて,前回の「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン」から,より広い意味の「感染性心内膜炎診療ガイドライン」に変更した.

本ガイドラインが循環器科医のみならず,その他領域の医師,歯科医師の先生方の役に立ち,IEの発症予防や良質な治療につながれば幸いである.なお,本ガイドラインは診断や治療方針決定のための1つの資料にすぎず,医師の裁量を否定するものではないことを追記しておく.ガイドライン作成組織構成員のCOIは巻末の付表に掲載した.

推奨レベルとエビデンスレベル

本ガイドラインでは,推奨クラスとエビデンスレベルを表1および表2のとおり分類した.

クリニカル・クエスチョン(CQ)と作成過程

診療ガイドライン作成委員会(パネル)は,感染性心内膜炎の診療に携わる循環器内科医,心臓外科医,感染症医,神経内科医,脳外科医,総合内科医,薬剤師から構成

された.診療ガイドライン作成委員会のメンバーの中からシステマティック・レビューチーム(SR班)が選任されたが,作業は独立して行った.

パネルによる重要臨床課題の選定,クリニカル・クエスチョン(CQ)作成,アウトカムの選定,その重大性の決定を行った.SR班によるシステマティック・レビューののち,パネル会議にて推奨文,Evidence to decision tableを完成し,それに基づきパネリストが推奨解説の執筆を行った.その後,外部委員による内容の査読,パブリックコメントの募集に基づき,適宜,推奨文,解説を改訂し最終化した.作成プロセスの各ステップa. ステップ1:重要臨床課題の抽出,CQ作成

パネル会議で2つの臨床課題を抽出した.それぞれの構成要素をPatient(P),Intervention(I)またはExposure (E),Control(C,比較対照)として表現した.その

表2エビデンスレベル

レベルA複数の無作為化介入臨床試験またはメタ解析で実証されたものレベルB単一の無作為化介入臨床試験または無作為化介入でない大規模な臨床試験で実証されたものレベルC専門家および/ または小規模臨床研究(後ろ向き研究および登録を含む)で意見が一致したもの

表1推奨クラス分類

クラスI手技・治療が有効・有用であるというエビデンスがある.あるいは見解が広く一致している.クラスIIaエビデンス・見解から,有効・有用である可能性が高い.クラスIIbエビデンス・見解から,有効性・有用性がそれほど確立されていない.

クラスIII No benefit手技・治療が有効・有用でないとのエビデンスがある.あるいは見解が広く一致している.クラスIII

Harm手技・治療が有害であるとのエビデンスがある.あるいは見解が広く一致している.