p.104 抽出テキスト
脈瘤に対してクリッピングを先行させることによって脳出血を防いだと考えられる例もある506).一方,再出血の場所はしばしば最初の出血部位と異なる場所に生じるとするものもある505).これは脳血管全体に炎症を生じているとも推測されており,こうした脳血管全体の炎症を抗菌薬投与によって抑える必要があるのかもしれない505). C2.2 神経学的悪化(図CQ2-3 225, 242, 504, 505, 509), 表CQ2-5 225, 242, 504, 505, 509)) 5つの観察研究(207人)で検討された225, 242, 504, 505, 509).待機的手術群vs早期手術群で8.1% vs 15.5%(95%CI 6.2%- 38.6%),RR 1.91(95%CI 0.77-4.76)と有意差がなかった.神経学的悪化には差がないとした. C2.3 望ましくない効果のまとめ 脳出血後早期手術の望ましい効果は「さまざま」とした. C3 益と害のバランス 脳出血合併IEに対する早期手術のエビデンスは観察研究のみである.死亡率は早期手術の予後が悪いとはいえない.再出血のリスク,神経学的悪化のリスクは早期手術で 悪い傾向があるが,決定的なものではない.早期手術の定義も1ヵ月以内とするものから1週間以内,2週間以内,3週間以内とまちまちであった. 一方,手術時期を比較したものではないが,脳出血合併後の早期手術の予後,再出血リスク,神経学的悪化のリスクは低いことを示した報告がある819).また,1年後の神経学的予後は大多数で良好であることが示された819).同様に,早期手術で神経学的予後のリスクは低いことを示した研究もある508). 以上の結果から,手術適応のある場合,1ヵ月以内の早期手術は,明確に推奨するものではないが,禁忌ともいえない.個々の症例の中には,手術をしないと救命できなかったような予後の悪い症例(心不全合併例,弁周囲合併症例)が含まれると考えられる.これらの症例では,早期手術によって救命できた例も含まれると考えられ,脳出血後には一律に手術を延期すべきではない. 表CQ2-2 脳出血後早期手術の有無による院内死亡率の比較についてのエビデンス評価 個別研究バイアスリスクグレードを上げる要因非直接性研究コードA B C D E F G H I J K L M N O P Diab M 2021 0 0 0 0 0 -2 -1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 Eishi K 1995 0 -1 0 0 0 -1 -1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 Garcia-Cabrera E 2013 -1 -1 0 0 0 -1 -1 0 0 0 0 0 -1 0 0 -1 Murai R 2017 0 0 0 0 -2 0 -1 0 0 0 0 0 -1 0 0 -1 Okita Y 2016 -2 -1 -1 0 -2 -1 -1 0 0 0 0 0 -1 0 0 -1 Yoshioka D 2014 -1 -1 -1 0 -1 -1 -1 0 0 0 0 0 -1 0 0 -1バイアスリスク,グレードを上げる要因,非直接性のA-Pについては「改訂にあたって」表3参照(文献40, 225, 242, 504, 505, 509をもとに作表) 表CQ2-3 脳出血後早期手術についてのSoF 表(害) アウトカム研究デザイン 研究数対象者数コントロール群*介入群 ** (95%CI)相対リスク*** (95%CI)絶対的リスク差** (95%CI)確実性重要度起きること 再出血観察研究 7 244 9.8% 15.2% (7.1%- 32.3%) 1.55 (0.72-3.30) 5.4% 多(2.7%少- 22.5%多) C1 6再出血は差がない 神経学的 悪化観察研 5 207 8.1% 15.5% (6.2%- 38.6%) 1.91 (0.77-4.76) 7.4% 多(1.9%少- 30.5%多) C1 7神経学的 悪化は差がない *対照研究の発症率**コントロール群の発症率とRRより計算***メタ解析(RevMan使用)より得た値注)1 観察研究のためCとした(文献40, 225, 242, 504-506,509をもとに作表)