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p.96 抽出テキスト

在することから,診断に際しては膠原病,リウマチ内科専門医へのコンサルテーションが推奨される.

CTD患者は複数のCTDの特徴を併せもつことがあり(オーバーラップ症候群),SScの分類/診断基準を満たさないが,手指あるいは足趾に限局する皮膚硬化など,SScの特徴をあわせもつ他のCTD(おもにSLE,MCTD)患者に対しては,SScと同様に無症状でも定期的なPAHのスクリーニングを考慮する.スクリーニングの具体的な方法については第6章2. SSc-PAH参照.

non-SSc CTD-PAH患者もSSc-PAH患者と同様にILDやHFpEFを合併することがあり,肺血管拡張薬を開始する際に留意する.具体的な内容については第6章2. SSc- PAH参照.また抗リン脂質抗体症候群合併例においては, CTEPHなども生じうる.

5.3 治療(推奨表26)

わが国では免疫抑制療法が有効なnon-SSc CTD-PAH患者が比較的多いことをふまえ,治療アルゴリズム(図20)にもとづき,肺血管拡張薬と免疫抑制療法の併用治療を検討する.

一般のCTD治療の基本は免疫抑制療法であり,グルココルチコイドに加え,重症度に応じてメチルプレドニゾロンパルス療法や免疫抑制薬,抗マラリア薬,生物学的製剤が併用される.PAHもCTDによる臓器障害の1つであり,その病態に対する免疫学的機序の関与が想定されている.実際に,non-SSc CTD-PAHのとりわけ病初期に対する免疫抑制療法の有効性が,症例報告,ケースシリーズ,後ろ向き研究から多数報告されている752, 798-803).しかし,これらの報告では,用いられた免疫抑制療法のレジメンや効果判定基準が統一されておらず,また,これまでに前向き介入研究での検証は行われていないことから,免疫抑制療法の有効性に関するエビデンスは弱いといわざるをえない.

わが国で行われた後ろ向き研究によると,PAHとCTDの同時発症例にグルココルチコイドと免疫抑制薬を併用することで予後が著しく改善することが示唆された802).その他,免疫抑制療法の有効性を予測する因子として,WHO機能分類I/II度,心係数が維持されていること,PAH早期が報告されている799).一方,不応例の存在や免疫抑制薬により感染症をはじめとした重篤な副作用につながる可能性があることから,治療経験豊富な施設でリスクベネフィットの観点で症例を選んで使用することが望ましい.

わが国ではすでに2つのガイドラインにおいて,「SSc以外のCTD-PAH患者に対する免疫抑制剤の使用は,CTD- PAHの治療経験豊富な施設で実施されることを提案する(GRADE 2C,エビデンスの確信性:弱い,推奨の強さ:

弱い推奨)」804),「SLEに伴うPAHに対しては,病初期のグルココルチコイドやシクロホスファミド(CYC)を用いた免疫抑制療法を推奨する(エビデンスレベルC)」805)と, non-SSc CTD-PAHに対する免疫抑制療法を推奨している.

免疫抑制療法の統一されたレジメンはないが,比較的症例数の多い後ろ向き研究で用いられた治療法は,中等量以上のグルココルチコイドとCYCの併用である752, 798-802). CYCの投与法として,ループス腎炎の治療で広く用いられている間欠的静注療法が用いられることが多い.用量は1回あたり500~1,000 mgを1ヵ月ごとに3~10回投与する.CYC投与には悪性腫瘍誘発,不可逆的性腺機能障害などの重篤な副作用のリスクがあるため,1回投与量や投与間隔,期間,さらには他の免疫抑制薬へのスイッチの可否について,今後の検討が必要である.

また,抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンはSLEの再発抑制に有用で,新規臓器病変の抑制や生命予後の改善効果の可能性が示唆されるため,すべてのSLE患者で使用を考慮される805).ただし,ヒドロキシクロロキンの使用下での網膜症リスクに対して,投与前および投与後の定期的な眼科診察が必要である805-808).

以上より,non-SSc CTD-PAH患者に対しては,可能なかぎり治療経験豊富な専門施設に紹介し,PAHのリスク,心肺疾患合併症に加え,CTDの疾患活動性を評価する.最新ガイドラインに沿った基礎疾患の治療をベースとし, CTDの疾患活動性があるもしくはPAHが早期進行性の場合はGCとCYCを組み合わせた免疫抑制療法を考慮する.さらに,その他のPAHと同様に,心肺疾患合併症のある場合は肺血管拡張薬を単剤で開始,ない場合はPAHのリスク評価に従い肺血管拡張薬の選択を行う.ただし,プロ

推奨表26 non-SSc CTD-PAH の治療に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

non-SSc CTD-PAH 患者に対し,最新のガイドラインにしたがった基礎疾患の治療を行う. I A non-SSc CTD-PAH 患者に対し,IPAH患者に対するものと同じ治療アルゴリズムを使用する. I C non-SSc CTD-PAH 患者に対して,グルココルチコイドとシクロホスファミドを組み合わせた免疫抑制療法を考慮する. IIa C SSc の特徴を合わせもつ他のCTD 患者に対して,毎年のPAH リスク評価を考慮してもよい. IIb C