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p.94 抽出テキスト

おいても治療介入を強化した場合には3~6ヵ月ごとの血行動態のフォローアップを行うことが望ましい.低リスクで安定的な状態に至った場合には6ヵ月~1年ごとの非侵襲的なリスク評価を行うとともに,1年ごとの血行動態評価を行う場合が多いが,特に良好な血行動態が得られている場合には,カテーテル検査の間隔を開けることも可能である664).

フォローアップの際もリスク評価を行う.低リスクの場合には原則として治療強化は必要ないと考えられる.ただし,血行動態評価を伴わないリスク評価の場合, AMBITION試験,GRIPHON試験,SERAPHIN試験のメタ解析の結果から,低リスクに分類された患者の20%以上が3年以内に臨床的悪化イベントを起こしていることが示された775).そのため,低リスクに到達した場合にも,個別化された治療強化を否定するものではない.

特にわが国で治療目標とされている平均肺動脈圧40 mmHg以下やREVEALレジストリでアウトカムと関連するPVR<5 Wood単位の達成663)をめざして治療強化を行うことについては,PVRの大幅な低下が右室機能を改善し,良好な長期予後をもたらすとの報告からも776-778),今後望ましい治療として受け入れられる可能性が高い.

中リスクである場合,経口併用療法を受けている患者に対しては経口および吸入プロスタグランジン製剤(セレキシパグ,トレプロスチニル)の追加療法を検討する. GRIPHON試験では,多くの患者が併用経口療法の上乗せで介入を実施されていることから,セレキシパグは3剤目としての追加効果のエビデンスレベルが高い779).PDE5阻害薬からリオシグアトへの切り替えも,非盲検RCTの結果から検討してもよいが,非盲検かつ未検証のアウトカム使用下での試験であるため,推奨度は低い780).すでに非経口プロスタサイクリン治療を受けている場合には,投与量の増量を検討すべきであるが,適正なターゲット投与量に関するデータは不足している.

高リスクで未導入の場合には,非経口プロスタグランジン製剤の開始を検討すべきである.非経口プロスタグランジン製剤はWHO機能分類IV度に対して唯一有効性をもつ製剤であり,用量依存性も期待されることから,重症例の治療強化手段として期待できる781, 782).高用量の非経口プロスタグランジン製剤の副作用としては頭痛,ほてり,顎の痛み,四肢の痛み,吐き気,下痢があげられる.薬剤開始後または用量増加後早期に発生するが,時間とともに改善することが多い783).ただし免疫グロブリン(Ig)G4関連疾患や甲状腺機能障害および下垂体機能障害などの合併症をきたすことがあり784),特に高用量を使用する場合には十分に経験のある施設で実施することが望ましい. 4.5 アクチビンシグナル阻害薬

2025年3月現在わが国では未承認であるが,米国をはじめとした諸外国では,アクチビンシグナル阻害薬の一種であるsotaterceptが承認されている.STELLAR試験705)では,sotatercept投与群はプラセボ群と比較し,24週時点で主要評価項目である6分間歩行距離の41 mの改善(P< 0.001)を示した.過半数の患者が3剤併用療法を受けていたことから,中リスク以上の治療強化が必要な場合,追加治療としての有効性が期待される785).これらの知見から,従来の3系統の薬剤に追加して使用できる4系統目の薬剤としての役割が期待されている(図19).ただし,出血や毛細血管拡張症の発現または悪化,ヘモグロビンの増加および血小板の減少などの有害事象が報告されている705)ことから,長期的な使用に関する安全性に関しても本薬剤の知見の蓄積が望まれる.

5 SSc以外の膠原病に伴うPAH (non-SSc CTD-PAH)

PAHの発症リスクの高いnon-SSc CTD-PAHの基礎疾患として重要なのが,SLEならびにMCTDである.non- SSc CTD-PAHに対しては,支持療法,肺血管拡張療法ともにIPAH/HPAHの治療指針に準じて行われるが,加えて,治療経験豊富な施設での免疫抑制療法が推奨される.

5.1 疫学,成因,予後

non-SSc CTD-PAHの基礎疾患としてとりわけ重要なのがSLEである.SLEにおけるPAH合併率は2~4%程度と報告されている786, 787).レイノー現象,漿膜炎,抗U1RNP抗体,抗リン脂質抗体,SLEそのものの疾患活動性などがSLE-PAHの危険因子となる788, 789).SLE-PAHは,しばしばPAHとCTDの発症が同時となり,組織学的にもIPAH/ HPAHに類似する病変に加え,フィブリノイド壊死を伴う血管炎が認められ790),免疫複合体,補体,炎症性サイトカイン,T細胞やB細胞の活性化などさまざまな成因が考えられる.

MCTDにも10%程度の割合でPAHが合併し791),病理学的にはSLE-PAHと同様の例,炎症細胞の浸潤に乏しいSSc-PAHに近似した例,双方の特徴を合わせもつ例が混在している790).正確な有病率は不詳だが,原発性シェーグレン症候群,関節リウマチ,多発性筋炎/皮膚筋炎(抗