p.91 抽出テキスト
4 IPAH/HPAH/DPAH/SSc-PAH の治療アルゴリズム(推奨表25) 4.1 アルゴリズムの適用 PAHの臨床試験に含まれる患者の大多数はIPAH, HPAH,DPAH,膠原病関連PAH(海外ではその多くが強皮症に伴うPAH 770))をもとにしたものであり,リスク層別化に関しても同様に,典型的な肺循環障害によるPAHを対象にした研究が多い665).したがってリスク層別化をもとにした治療アルゴリズムもIPAH/HPAH/DPAH/SSc-PAHの治療アルゴリズムとして,これらの患者を対象にすることを前提としたものを図18に示す114, 664). 本治療アルゴリズム適用前に心肺疾患合併の評価を行うことが重要であり,前項の特徴が存在するかどうかを評価することが重要である572).また,強皮症を除く典型的なPAHの中にはCa拮抗薬反応性の患者が存在するため,初診時には急性血管反応試験を実施することが求められる. 4.2 心肺疾患合併の場合 第6章3.3 心肺疾患合併PAHの治療参照. IPAH/HPAH/DPAH/SSc-PAH の診断時におけるリスク評価において,高リスク患者に対しては静注,皮下注投与によるプロスタグランジン製剤(エポプロステノール,トレプロスチニル),エンドセリン受容体拮抗薬,PDE5 阻害薬の3 剤併用療法を行う. I B IPAH/HPAH/DPAH/SSc-PAH の治療中の評価は,初回治療介入後は3~4ヵ月以内に行う.その後薬剤を変更・追加した場合は,血行動態評価を含めた再評価を6ヵ月以内に行う. I C IPAH/HPAH/DPAH/SSc-PAH の治療介入中はマルチモダリティによる評価を定期的に行い,悪化がある場合には治療介入の強化を考慮する. IIa B IPAH/HPAH/DPAH/SSc-PAH のフォローアップ時のリスク評価において,中~高リスクの場合には,重症度を総合的に評価しながら適切な治療介入の強化を考慮する. IIa B IPAH/HPAH/DPAH/SSc-PAH のフォローアップ時のリスク評価において,中リスクの場合には,経口(セレキシパグ)もしくは吸入(トレプロスト)プロスタグランジン製剤による治療介入の強化を考慮する. IIa B IPAH/HPAH/DPAH/SSc-PAH のフォローアップ時のリスク評価において,中リスクの場合には,PDE5 阻害薬からsGC 刺激薬(リオシグアト)への変更を考慮してもよい. IIb B IPAH/HPAH/DPAH/SSc-PAH のフォローアップ時のリスク評価において,高リスクの場合には,静注・皮下注投与によるプロスタグランジン製剤(エポプロステノール・トレプロスチニル)とERA およびPDE-5 阻害薬による3 剤併用療法を行うことを考慮してもよい. IIb Bすでに静注· 皮下注のプロスタグランジン製剤による治療を受けているIPAH/ HPAH/DPAH/SSc-PAH のフォローアップ時のリスク評価において,中リスク·高リスクの場合には,用量変更による治療強化を考慮してもよい. IIb Cすでに静注· 皮下注のプロスタグランジン製剤による治療を受けているIPAH/ HPAH/DPAH/SSc-PAH のフォローアップ時のリスク評価において,中リスク·高リスクの場合には,肺移植施設への紹介と移植適応を検討する. I A IPAH/HPAH/DPAH/SSc-PAH のフォローアップ時のリスク評価において,中リスク以上の場合には,アクチビンシグナル阻害薬の追加を考慮する.なお高リスクの場合には,静注· 皮下注PGI2 による治療の適応を検討したうえで行う. IIa B 推奨表25 I/HPAH,DPAH,SSc-PAH の治療アルゴリズム に関する推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 急性血管反応試験陽性例に対しては,高用量のCa 拮抗薬を投与する. I A急性血管反応試験陽性例に対し,高用量のCa 拮抗薬の投与3~4ヵ月後に血行動態を評価する.改善が乏しい場合には,通常の治療アルゴリズムと同様に治療介入を考慮する. IIa B IPAH/HPAH/DPAH/SSc-PAH の診断時には,かならず血行動態評価を含めたマルチモダリティによる評価を行い,長期予後指標にもとづいたリスク評価を行う. I B IPAH/HPAH/DPAH/SSc-PAH の診断時におけるリスク評価において,低~中リスクの患者に対してはエンドセリン受容体拮抗薬(アンブリセンタン,マシテンタン)およびPDE5 阻害薬(タダラフィル)の2 剤併用療法を行う. I A