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p.90 抽出テキスト

素が重要である可能性や767),DLCO値が低い高齢者ではPAH治療薬による酸素化の悪化に注意が必要であることから760),DLCO低下には,肺実質病変だけではなくそれ以外の要因(年齢,性別,喫煙,静脈/毛細血管病変など)も寄与しうると考えられる.

3.3 心肺疾患合併PAHの治療(推奨表24)併存疾患をもつPAH患者は臨床現場で増加しており,

GRIPHON試験では全患者の51%が少なくとも1つの心血管系併存疾患をもっており768),AMBITION試験では40%が高血圧,10%が糖尿病,4%が冠動脈疾患を合併していた758).これらのケースでも肺血管拡張薬は有効である一方,典型的なPAHと比較して早期の多剤併用療法の有効性が期待できず,また治療中の有害事象の発生率が高いことが示されている.肺疾患を伴う場合,低酸素血症など有害事象の発生率が高いため,短い間隔でのフォローアップが必要となる.

一方,GRIPHON試験やAMBITION試験における併存疾患のある群の臨床悪化リスクの低減効果は全体的な結果とほぼ同様であり,また喫煙歴があり%DLco<45%の患者では生存期間が短いことが示されている676)ことから,適切な治療強化も重要であることが示唆される.

以上の点を鑑みて,併存疾患を伴うPAHでは単剤療法として治療を開始し,治療の忍容性と反応性を綿密にフォローアップし,有効性が乏しい場合には併用療法を行うことが望ましい.しかし,治療開始後に第1群以外のPHの要素のほうが強いことが明らかになる可能性もあり,その場合にはPAH治療を中断・減量して左心疾患など基礎疾患の治療を行うことを考慮する769).さらに,肺疾患や心疾患自体への治療も並行して行うことが推奨される(図17).

I/HPAH, DPAH, SSc-PAH

心肺疾患合併PAHの所見治療アルゴリズム(図18)へ

心肺疾患合併PAHを示唆する特徴

ありなし

治療開始時は単剤で開始併用を否定するものではない心疾患の関与を示唆する特徴肺疾患の関与を示唆する特徴

CTで軽度の肺実質病変(気腫化・線維化など)あり

参考所見・COPD:%FEV1≧60%・間質性肺疾患:%FVC≧70%・喫煙歴+%DLCO<45%

HFpEFを示唆する所見高齢左室肥大心房細動PAWP高値(13~15 mmHg)

高度肥満高血圧症糖尿病冠動脈疾患の既往

図17 I/HPAH,DPAH,SSc-PAH における心肺疾患合併PAH の特徴と治療

推奨表24 心肺疾患合併PAH の治療に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

心肺疾患合併PAH 患者では,単剤療法より治療を開始することを考慮する. IIa C単剤療法を受けていて,中等度または高リスクの心肺疾患合併PAH 患者では,追加のPAH 治療を考慮してもよい. IIb C心肺疾患合併PAH 患者では,合併する基礎疾患の最適化治療を行う. I C心肺疾患合併PAH 患者では,生活習慣の是正を行う. I C心肺疾患合併PAH 患者では,経験豊富な施設での心大血管疾患リハビリテーション,呼吸器リハビリテーションを行う. I C