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るため,少なくとも貧血を伴う場合は鉄補充が推奨される688, 689).ただし,PAHではヘプシジンの増加により腸管からの鉄吸収の低下がみられるため690),内服だけでなく静脈注射も考慮する. e. 不整脈 PAHでは上室頻拍が起こりやすく,25%に認められたという報告もある691).心房細動がもっとも多く,心房粗動がそれに次いで多い.特にCHDに合併が多く692),高い右房圧,高いPAWP,NT-proBNPが上室頻拍の発症と関連しており693),右心不全の状態が発症に反映していると考えられる.重症右心不全においては薬物的除細動や陰性変力作用のある抗不整脈薬の使用がはばかられる場合が多い.エビデンスは乏しいが,カテーテルアブレーションにより抗不整脈薬の使用,BNP,入院回数が減少したと国内より報告されている.しかし,長期間の観察では上室頻拍の再発が多く再発群は予後不良であるため694),長期にわたる慎重な観察が望ましい. 1.5.2 特異的薬物治療 PAP,PVRをすみやかに低下させることが重要である.それが肺血管リモデリングの進行を抑制し,右室後負荷軽減から生命予後改善につながることが期待される682).急性肺血管反応性試験が陽性であれば,高用量Ca拮抗薬により血行動態の著明な改善が得られる可能性が高く,治療の第一選択となる. 陽性例の約半数は長期予後も良好であるが624),HPAHでは陽性率が低く,効果が乏しい可能性が示されている695, 696).高用量Ca拮抗薬投与開始3~6ヵ月後に血行動態をかならず再評価し,治療反応性が得られていない場合には,通常のIPAHと同様に肺血管拡張薬の追加を行う114). 急性肺血管反応性試験が陰性であれば,肺血管拡張薬を使用する.肺血管拡張薬にはエンドセリン経路,NO経路,プロスタサイクリン経路の3系統の薬剤があり,それらを併用し血行動態の寛解を目指すべきである. 内服薬の併用に関しては,アンブリセンタン10 mgとタダラフィル40 mg(AMBITION試験697)),マシテンタン10 mgとタダラフィル40 mg(A DUE試験698))の初期併用は,いずれも単剤治療より有意な改善が報告されており,高リスク以外のPAHの初期治療として推奨される. 高リスクの患者,または内服薬の初期併用療法にて十分な改善が得られない患者には,プロスタサイクリン経路に作用する薬剤を併用した3剤併用治療を行う.セレキシパグ0.4~3.2 mgの追加による内服3剤併用療法は,2剤併用より有効であることが示されている699).非経口のプロスタサイクリンに関して,わが国ではエポプロステノール静注およびトレプロスチニル吸入,皮下注,静注が使用可能 である.治療法が限られていた時代には200 ng/kg/分にも及ぶ超高用量が使用されていたが,欧州では初期3剤併用療法により20 ng/kg/分程度の使用でも血行動態が著明に改善し700),良好な予後が示された701). 非経口プロスタサイクリンを増量しても十分な改善が得られない場合には,その時点で肺移植登録を考慮する.トレプロスチニルの力価はエポプロステノールより劣り,静注で同等の効果を得るためには,エポプロステノールの2 ~3倍の投与が必要とされている702).一方で,エポプロステノールからの移行では,ほぼ同等の投与量で効果を保ちつつ副作用を減弱できたとの報告もある703).トレプロスチニルの皮下注による投与はエポプロステノールと同等の使用量で同様の長期予後を示したが704),注射部位における局所反応と疼痛が継続使用の障害となる. 近年,肺動脈のリモデリングを抑制する機序が期待されるアクチビンシグナル阻害薬であるsotaterceptが開発された.海外第III相試験において6分間歩行距離の改善がみられ705),今後初期併用療法によっても改善が得られない場合の追加薬剤として期待される. 1.5.3 進行する右心不全治療 高度に進行する右心不全ではスワン・ガンツカテーテル下でICU管理を考慮する.PHの急性増悪によりICUに入室した場合の死亡率は17.5~52.4%と高いため706-710),専門施設への相談が望ましい.また循環虚脱となったPH患者の退院率は約4%であり711),心停止を未然に防ぐことが重要である. 右心不全治療のポイントは1右室前負荷,2右室後負荷,3右心機能,4トリガーへの介入である712).COを考慮しながら利尿薬を用いて右室前負荷を軽減し,肺血管拡張薬で右室後負荷を低下させる.さらに右心機能の改善目的に強心薬を使用する.体血圧の維持は冠動脈血流の維持に重要であり,相対的な右室心筋の虚血を改善する.また,右心不全のトリガーを検索し治療することも必要である.それでも進行する右心不全では人工呼吸器や静脈-動脈方式体外膜型人工肺(V-A ECMO)による補助循環が有効である.動脈径などの問題で十分なECMO流量が得られない場合は,脱血管のサイズアップと送血管の追加(VAA-ECMO) 713)もしくはcentral ECMOも考慮される. 1.5.4 終末期ケア I/HPAHの短・中期的予後は改善しているものの長期予後はまだ不十分であり,終末期医療が必要となることもある.PAH患者はICUでの死亡率が高く714, 715),適切な緩和