p.76 抽出テキスト
度96%であり,特に感度の面で末梢病変のスクリーニングに用いることには限界がある614).CTPAはその他にも心内シャントや異常な肺静脈還流,動脈管開存,肺動静脈瘻など他の心血管異常の検出にも使用できる. 4.9 MRI 心臓MRI検査は,心房の容積や心室の拡張末期/収縮末期容積,形態および機能を正確かつ再現性高く評価することができる.またタグ付けを行うことにより右室/左室心筋ストレインに関する情報を得ることができ,右室機能評価に応用されている615).コストやアクセスの問題からPAHの早期発見に使用するのは難しいが,肺動脈,大動脈,大静脈の血流を測定し,1回拍出量や心内シャントおよび弁の逆流を定量化することができる616).MRアンギオグラフィは肺血管の描出やperfusion MRIによる肺野の血流評価を行うことで,CTEPHの評価に有用である617). 4.10 腹部エコー 原因検索の過程でPoPHを疑う場合,肝硬変や門脈圧亢進症の合併を評価するために施行される.肝硬変では肝縁鈍化,表面凹凸不整,左葉腫大,右葉萎縮,尾状葉腫大,肝実質の塑造化,肝内脈管の不明瞭化がみられる.また門脈圧亢進症を反映し,脾腫や側副血行路の発達,さらに腹水,胆嚢壁肥厚,門脈血栓の出現に加え,ドプラによる門脈血流速の低下や肝静脈の平坦化もみられる.右心不全が進行すれば肝うっ血所見や腹水もみられる. 4.11 心臓カテーテル検査・負荷試験 4.11.1 RHC検査(推奨表20) RHC検査はPHの診断,分類,重症度や治療効果の判定に必須の検査である.RHC検査の目的はPHの診断と分類に加え,心臓または肺移植適応判定の血行動態評価や,先天性シャント疾患の診断も含まれる.侵襲的な血行動態評価であるため,他の画像診断などの検査を十分行ったうえで実施すべきである. PHの専門施設からは,重篤な有害事象の発生率は1.1%,処置関連死亡率は0.055%と報告されている618).右心系の血栓または腫瘍,1ヵ月以内に植え込まれたペースメーカ,右心系機械弁,および急性感染症では禁忌である.もっとも重篤な合併症は肺動脈の穿孔である.RHCにおける圧測定にはバルーン付きカテーテルを使用し,カテーテルを進める際にはバルーンを膨らませる.肺動脈損傷を防ぐた めにも,肺動脈内でバルーンを必要以上に繰り返し膨らませることは避けるべきである. ゼロ点校正として推奨されるのは,ほとんどの患者において左房レベルとなる胸中部レベル(mid-thoracic level)である619).前胸部とベッド表面の中間地点の高さに圧トランスデューサーの高さを設定し,決定する. 血行動態評価時には,表28のすべての測定値を計測または算出する.血液ガスサンプリングについては少なくとも混合静脈血酸素飽和度(SvO2)と動脈血酸素飽和度(SaO2)は測定する必要がある.SvO2>75%の患者で左右シャントが疑われる場合はかならず,酸素飽和度を上大静脈,IVC,右房,右室,肺動脈と段階的に評価する. 心拍出量(CO)は直接フィック法または熱希釈法(3回以上測定して平均値を算出)により評価することが望ましい.ただし,熱希釈法によるCOは低CO状態や重症三尖弁閉鎖不全症で誤差が生じやすいとする報告もあり,得られた測定値は臨床症状と合わせて慎重に解釈する必要がある620, 621).間接フィック法は熱希釈法よりも信頼性が低 推奨表20 PH のRHC 検査および血管反応性試験に関する推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル PH の診断,分類,重症度を確認し,治療方針の決定・効果判定をするために, RHC 検査を実施する. I B RHC 検査は表28 の計測値をすべて得られるよう実施する. I C RHC 検査におけるゼロ点校正はほとんどの患者で左房レベルとなる,胸中部レベル(mid-thoracic level)が推奨される. I C RHC 検査におけるすべての圧測定は,呼気終了時に息止めなしで行う. I B血管反応性試験は,高用量のCa 拮抗薬の投与が可能な患者を検出するため,I/ H/DPAH 患者に実施する. I C血管反応性試験における陽性反応の定義は,mPAP の減少が≧10 mmHg で絶対値が≦40 mmHg に達しCO が増加する,または変わらないこと,とする. I C Ca 拮抗薬治療の候補を特定するための血管反応性試験は,I/H/DPAH 以外のPAH患者,およびPH の第2~5 群の患者には推奨されない. III No benefit C誤分類を防ぐため,PAWP 13~15 mmHg においては,運動負荷や輸液負荷などの負荷試験を行う. I C