p.74 抽出テキスト
「心室」カテゴリーで肺高血圧を疑う所見として,心基部短軸断面における右室と左室の直径比,もしくは面積比が1 より大であること,左室の長径と短径の比であるeccentricity index(LVEI)が1.1 より大であること,三尖弁移動距離(TAPSE)と推定sPAPの比が0.55 mm/mmHg未満であることがあげられる.「肺動脈」カテゴリーでは右室流出路通過血流波形(RVOT)の加速時間(AT)が105 ms未満であること,拡張早期の肺動脈弁逆流血流速度が 2.2 m/秒より大であること,肺動脈径と大動脈径を比較し 肺動脈径が大きい,あるいは25 mmを超えていることがあげられる.「下大静脈・右房」カテゴリーでは,下大静脈の吸気時の血管径虚脱が乏しく,最大径が21 mmを超える場合,右房面積が収縮末期で18 cm 2より大であることがあげられる. 図13 心エコー図検査によるPH 確率とリスク評価による精査(Humbert M, et al. 2022 114)を参考に作図) 三尖弁逆流ピーク血流速度 2カテゴリー以上の心エコー陽性所見 ≦2.8 m/秒または 計測不能 低リスク いいえいいえはいはい 経過観察PHリスクに応じた精査 中等度リスク高リスク >2.8および≦3.4 m/秒>3.4 m/秒 PHの診断のためには,カテゴリーA ~Cから2 つ以上のカテゴリー内の徴候が存在している必要がある.PHのリスクを評価する際には,膠原病やCTEPHの危険因子の有無を確認し,これらの疾患と関連がない場合(左心不全の存在や肺疾患の存在など)のRHC検査は,症例に応じて検討が必要である. (Humbert M, et al. 2022 114)より) ©the European Society of Cardiology and the European Respiratory Society 2022. All rights reserved. TAPSE/sPAP比<0.55 mm/mmHg カテゴリーA 心室 右室/左室基底部直径もしくは面積比>1.0 心室中隔の扁平化(収縮期・拡張期のLVEI>1.1) 肺動脈径>大動脈径肺動脈径>25 mm カテゴリーB 肺動脈 RVOT AT<105 ms収縮中期のノッチ 拡張早期の肺動脈弁逆流 血流速度>2.2 m/秒右房面積(収縮末期)>18 cm2 カテゴリーC下大静脈・右房 吸気時の虚脱の減少(鼻すすり時に<50%,静かにすった時に<20%)を伴う下大静脈径>21 mm 表27 カテゴリー別PH を示唆する心エコー図所見