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p.69 抽出テキスト

post-capillary PHとし,PVR>2 Wood単位の患者は,前毛細血管性PHの成分も有するcombined post- and precapillary(Cpc)PHとする.

先天性心疾患,肝疾患,肺疾患,甲状腺機能亢進症などを有する患者において,mPAP>20 mmHgだがPVR< 2 Wood単位,かつPAWP<15 mmHg,と前毛細血管性,後毛細血管性いずれの基準も満たさない場合は肺血流の増加を示す場合が多く,その病因の診断・治療と,その後の臨床的フォローアップが推奨される.

1.2 運動負荷に伴うPH

通常の運動中のmPAPは,COが10 L/分において30 mmHgを超えない,またはmPAP/COの傾きが3 mmHg/L/分を超えないとされる558).そのため運動時PHは,運動時におけるmPAP/COの傾きが3 mmHg/L/分を超える場合と定義される559).このようにCOの増加に対するmPAP増加の割合を評価するため,X軸にCO,Y軸にmPAPをプロットし,その傾き(mPAP/COスロープ)が用いられるが,簡易的には安静時と運動時のmPAPの差をCOの差で割ったものでもよい.

運動時PHの中には,前毛細血管性と,PAWPの上昇を伴う後毛細血管性が含まれる.mPAP/COのみでは両者を鑑別することはできない.臥位運動時のPAWP≧25 mmHg,もしくは座位運動時,COの増加に対するPAWPの増加の割合(PAWP/COスロープ)が2 mmHg/L/分を超える場合は,pcPHの存在が示唆される560-562).

運動時の血行動態には年齢依存性があり,高齢者は若年者よりもmPAP/COやPAWP/COの傾きが急峻である563-565).また,運動時PHは,労作時息切れ患者,心血管系疾患における予後不良566-569),膠原病,特に全身性強皮症(SSc)患者のPH発症や生命予後と関連している570, 571).

2 臨床分類

PH臨床分類の目的は,PHに関連する臨床状態について,類似した病態生理学的メカニズム,臨床および血行動態学的特徴,ならびに治療管理にもとづいて分類することである.本ガイドラインの分類は第7回肺高血圧症ワールドシンポジウム572)にもとづく.今回の改訂の大きな変更は,1特発性肺動脈性肺高血圧症(PAH)においてCa拮抗薬長期反応例573, 574)を分類したこと,2肺静脈閉塞性疾患(PVOD)/肺毛細血管腫症(PCH)の病態をもつPAHと新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)については,第1群の亜

群ではなく第1群の1つに分類したこと,第2群,第3群のPHの一部を疾患名で分類したことである(表26) 572).

2.1 第1群:PAH

PAHは肺動脈のリモデリングをきたすことにより典型的なPHの臨床像を示す疾患群である.PAHは以下の6つに大きく分類される.すなわち,1特発性,2遺伝性,3薬物,毒物に関連するもの,4膠原病を代表とした各種疾患に伴うもの,5PVOD,PCHの特徴をもつもの,6新生児遷延性PHである.

1の特発性は特定の背景疾患が存在しないPAHであり,他のPAHが否定された場合に分類される.国内,国外ともにもっとも多く,臨床的に重要なPAHである.特発性(遺伝性)PAHにおいて,急性血管拡張反応陽性で高用量Ca拮抗薬の長期有効例は長期予後がきわめて良好であり, Ca拮抗薬長期反応例として分類される573, 574).

2の遺伝性は家族性とPH疾患関連の遺伝子変異を認めたPAHである.

3の薬物,毒物に関連するPAHは薬剤や毒素と関連が指摘されているものであるが,原因薬剤が明確なものとそうでないものに分かれる.

4の各種疾患に伴うPAHの基礎疾患には4-1結合組織病(CTD,膠原病),4-2 HIV感染,4-3門脈圧亢進症に伴う肺動脈性肺高血圧症(PoPH),4-4先天性心疾患(CHD),4-5住血吸虫症がある.

4-1 の結合組織病(膠原病)を伴うPAH(CTD-PAH)は,特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)に次いで症例数が多い.欧米ではSScに伴うPAHが主であるが575),わが国では基礎疾患としてSSc,混合性結合組織病(MCTD),全身性エリテマトーデス(SLE)の割合は同等である576). 4-2のHIV感染症に伴うPAHはフランスの報告ではPAH全体の約6%とされているが577),わが国では症例報告以外のまとまった報告はなく,実態は不明である.4-3 のPoPHは,海外の研究でPAH全体における割合は10%以下とされている.治療薬の治験などでも除外されることが多く,治療介入に関して十分に研究されていない.4-4の先天性心疾患に伴うPAH(CHD-PAH)の有病率は成人100万人あたり1.6~12.5人と報告されている578).4-5の住血吸虫症に伴うPAHは臨床像,病理的にIPAHと類似していることが報告されている579).住血吸虫症が風土病の国々ではPAH全体に占める割合は高いが,わが国での報告はほとんどない.

5の静脈/毛細血管病変(PVOD/PCH)の特徴をもつ