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p.67 抽出テキスト

COVID-19 中等症II(酸素投与を必要とする),重症患者(ICU 入室もしくは人工呼吸器管理を要する)に対する血栓予防,病態改善を目的とした抗凝固療法を考慮する

*3. IIa B重症急性期内科疾患患者

*4 に対して,間欠的空気圧迫法を考慮する. IIa B重症急性期内科疾患患者

*4 に対して,出血合併症に留意しながらの予防的抗凝固療法を考慮する. IIa A重症急性期内科疾患患者

*4 に対して,薬物予防法と間欠的空気圧迫法の併用および薬物予防法と弾性ストッキングの併用は推奨されない. III No benefit B *1 脳卒中,心不全,急性心筋梗塞,呼吸不全,COPD急性増悪,急

性感染症,COVID-19,活動性がん,ネフローゼ症候群,炎症性腸疾患,自己免疫性疾患,骨髄増殖性疾患,発作性夜間血色素尿症など*2 上記

*1 の疾患リスク(VTE既往,肥満,ホルモン治療,高齢,静脈瘤,血栓性素因など)を複数有する場合*3  第1章4. COVID-19との関連参照*4  重症:ICU入室,人工呼吸器管理など

日本医療安全調査機構による「急性PTEに係る死亡事例の分析」では,死亡事例8人中2人が脳出血,1人が精神疾患,1人が胸膜炎といった非外傷・非手術例であった468).またDPCデータを用いた国内入院患者におけるPTE疫学調査によると,外科系と比較し内科系(非手術)入院では, VTE予防管理の実施率が外科の59.2%に比べ7.3%と低く, PTE発症率が高かった(0.119% vs. 0.095%)ことより35),周術期患者のみならず内科領域患者においてもPTE発症リスク管理の重要性が示された.

内科領域患者では,活動性の低下,血流のうっ滞,凝固能の亢進,血管内皮機能障害などのVTEの危険因子を保有した状態となる.さらに,それらの危険因子を複数有することで,VTEの発症リスクが高まる473, 474, 520, 521).これらのリスクを統合して全体のリスクレベルを評価し,出血リスクや弾性ストッキング装着に伴う皮膚障害·虚血性壊死などの合併症リスクを十分考慮したうえで,VTEリスクレベルに応じた適切な予防法を選択することが望ましい.

海外では低分子ヘパリン,フォンダパリヌクス,DOACも一次予防に使用されているが,2025年3月現在,国内において内科系入院患者のVTE一次予防として使用できる抗凝固薬は未分画ヘパリンのみである.

本項は,2017年改訂版ガイドライン1)および各疾患におけるガイドライン,エビデンス82, 466, 522, 523)と同様に,原則として臥床(bed rest with bathroom privileges) 473)を要する急性期内科患者を対象としている.いずれの病態においても,禁忌となる症例を除いて,早期離床・積極的な運動が推奨される.

脳卒中急性期においては,移動能が低下している患者(自立でトイレ歩行が不可)に対して,弾性ストッキングより,間欠的空気圧迫法の使用が推奨される440, 466, 492).さらにVTEリスクが高いと考えられる症例に対しては,予防的抗凝固療法を考慮してもよいとされるが524, 525),VTE予防効果が頭蓋内外の出血リスクを上回ると期待される症例に限定する必要がある.しかし,そのような患者群を特定する予測ツールはまだ開発されていない526).さらに,脳梗塞に対する抗血栓療法に予防的抗凝固療法を追加する場合は,出血性梗塞や脳出血の発症リスクが高まるため,予防的抗凝固療法の有効性は確立されていない466).なお,脳出血,くも膜下出血,重篤な出血性梗塞では出血を助長する可能性があるため,抗凝固療法以外の予防法が適している466).

急性心筋梗塞においては,弾性ストッキングによるDVT抑制効果を検討した少数例のRCTで,抑制効果が確認されている527).

がん(悪性腫瘍)においては,活動性がんを有し,急性内科疾患を合併した入院患者や移動制限のある入院患者,または化学療法中でVTEリスクが高い外来患者(Khoranaスコア2点以上など)に対し,低分子ヘパリンやDOACによる予防的抗凝固療法の有用性が示されている342, 528-538).ただし,これらの報告で用いられている低分子ヘパリンやDOACは,国内で予防的抗凝固療法としての適応がなく,安全性の評価もエビデンスもない.さらにがん患者は出血リスクを有する患者群であるため,リスクとベネフィットを慎重に考慮しなければならない.わが国では,より高いVTEリスクを有する患者に限定的に実施されるべきである.

その他の内科疾患(うっ血性心不全,急性感染症, COPDの急性増悪,炎症性疾患,炎症性腸疾患など)において,3~4日以上の長時間にわたる移動制限があり,さらにVTE既往,肥満,ホルモン治療,高齢,がん,静脈瘤などの追加リスクが重なる場合,VTE発症率が上昇する.このような患者に対し,低分子ヘパリンやフォンダパリヌクスを用いた予防的抗凝固療法の有効性が示されている537-539).

VTE高リスク患者においては,急性内科疾患の退院後,特に6週間以内にVTE発症リスクが高まると報告されている474, 540-542).一方で,40日間程度の予防的抗凝固療法により,そのリスクを抑制できることも示されている543-546).しかし大出血などのリスクも上昇するため,予防的抗凝固療法の延長は一律には推奨されない543).

内科系ICU患者では危険因子が重複しやすく,VTEリス