p.63 抽出テキスト
間が推奨最長投与期間である. エドキサバンは下肢整形外科手術(膝関節全置換術,股関節全置換術,股関節骨折手術)施行患者におけるVTEの発症抑制に使用可能で,術後12時間経過し,出血がないことを確認後30 mgを1日1回11~14日間経口投与する.なお,高度の腎機能障害(CCr<30 mL/分)患者では禁忌とされ,中等度(30≦CCr<50 mL/分)では個々の患者のVTEリスクおよび出血リスクを評価したうえで,15 mg 1日1回に減量することを考慮する. 3 各診療科での予防法 3.1 予防法の選択 わが国におけるVTEのリスク評価は4段階のリスク分類(表19)に,個々の危険因子や合併症(表21)を加味し,最終的なリスクレベルを決定する.推奨予防法を推奨表16に示す.本リスク評価,理学的予防を行う肺血栓塞栓症予防管理料算定の有効性が示されているため,低リスク患者には早期離床,弾性ストッキングの理学的予防,中リスク患者は早期離床,弾性ストッキング,間欠的空気圧迫法の理学的予防を一律に行い,高リスク患者の一部はVTEと出血のバランスで抗凝固療法の追加,最高リスク患者は基本理学療法と抗凝固療法を行う. 3.2 一般外科 一般外科におけるVTE予防は,手術の大きさ(麻酔法,出血量,輸血量,手術時間),年齢,危険因子(がん, VTEの既往,血栓性素因,付加的な危険因子)からリスクレベルを決定する.大手術は腹腔,胸腔手術,45分以上要する手術を基本とする.同じ手術でも病態によってVTE発症率は異なり,単純性虫垂炎のVTE合併症は2.1%であったが,複雑性虫垂炎では20%と上昇した.大腸がんの待機手術例では7.2%であった503). 弾性ストッキングは,DVT発症率が使用群では7%と非使用群の20%に比べ単独でも低下したことがメタ解析で示されており,推奨される504).間欠的空気圧迫法が無治療に比し有意にDVT,PTEを減少,弾性ストッキングに比しDVT減少,抗凝固薬と比肩する効果があることもメタ解析で示され,間欠的空気圧迫法は強く推奨される448, 505). 抗凝固薬の使用は高リスク患者では血栓・出血リスクで決定される.担当医の裁量の範囲が広いものの,最高リスク患者では併用が基本となる.予防的抗凝固薬は,低用量未分画ヘパリン皮下注射あるいは持続点滴,低分子ヘパリン(エノキサパリン),Xa阻害薬(フォンダパリヌクス)皮下注射が使用される.わが国の研究で,抗凝固薬と致死的PTEの減少との相関が示されている506). 3.3 泌尿器科 一般外科手術のリスク分類および予防法に準ずる.経尿道的手術は低リスク,がん以外の疾患に対する骨盤手術は中リスク,前立腺全摘術や膀胱全摘術は高リスクとする.腎手術も腹部手術に準じた予防法を選択する. 3.4 産婦人科 3.4.1 婦人科手術 原則としては,一般外科手術のリスク分類および予防法に準じる.婦人科悪性疾患の解析507)あるいは婦人科疾患を含んだ外科手術の解析505)で,弾性ストッキング単独,間欠的空気圧迫法単独,それぞれと抗凝固療法の併用のVTE予防の有効性が示されている505). 婦人科悪性腫瘍では,術前にVTEの合併率が高いと報告されている508).術前に下肢浮腫や腫脹などのDVTを疑う所見や,呼吸困難や胸痛などのPTEを疑う所見があれば,静脈超音波検査と造影CTなどの画像検査を行う.婦 推奨表16 VTE の各領域の予防法(周術期)に関する推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル すべてのリスクの患者に対して早期離床および積極的な運動を推奨する. I C中リスク患者では弾性ストッキング着用を考慮する. IIa A中リスク患者では間欠的空気圧迫法を行う. I A高リスク患者に対し,間欠的空気圧迫法あるいは抗凝固療法を行う. I A最高リスク患者に対して予防的薬物療法と間欠的空気圧迫法の併用,あるいは予防的薬物療法と弾性ストッキングの併用を行う.また出血リスクの高い患者に対して間欠的空気圧迫法を行う. I A