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症後は急性期症状の改善とPTS予防に弾性ストッキングを着用させ,6ヵ月の時点でPTSの症状が消失した患者では中止し,PTS症状が残存する患者では2年間着用させる. また,PTSがすでに発症した患者に対しては,軽症例での効果は明確でないが449),静脈性潰瘍例には弾性包帯,足関節圧30 mmHg以上の弾性ストッキングが有効であり,治療の中心として強く推奨される448-453).うっ滞性皮膚炎,脂肪皮膚硬化症を発症した患者でも,エビデンスは低いが推奨される448).静脈性潰瘍の再発予防についても無治療との比較が行われ454),システマティックレビュー,メタ解析でもその有用性も示された448).弾性ストッキングの圧迫圧は高くなると着用しにくく, 不快感が増し,アドヒアランスが低下する.急性期と同様に着脱の容易な20~30 mmHgのものが推奨される428, 448).浮腫や疼痛などの症状改善に関しては,足関節での圧迫圧18 mmHg以上から開始することが通常である.潰瘍治療では足関節部で40 mmHg以上を目標にするが455, 456),40 mmHgより低圧でも有効性が示されている453). 弾性ストッキングのタイプに関しては,症状が下腿や足部に生じやすい,安価で使用しやすい,有効性が同等であることから,大腿部に浮腫がなければ膝上より膝下タイプが適する438). 第4章 VTEの予防 1 リスク評価 1.1 VTEの予防 VTEは,手術後や出産後,あるいは急性内科疾患での入院中などに多く発症し,その発症予防が非常に重要となる.かつて,わが国のPTEが発症した場合の院内死亡率は14%と報告されていた29).したがって,臨床診断率の向上だけでは予後の改善は達成できず,発症予防が不可欠となる.また,発症予防は費用対効果にも優れることが示されている457-461). このため,ACCPガイドライン57)や国際脈管学連合(IUA)が中心となったコンセンサスステートメント58)など,いくつかの予防ガイドラインが公開されている.2012年のACCPのガイドライン57)は,患者にとって重要な因子,すなわち致死性VTE,症候性VTEならびに大出血をエビデンスの評価として取り入れ,これまで評価項目の1つでほとんどの薬剤の治験の評価項目でもあった無症候性DVTは取り入れないこととした.抗凝固薬の予防的投与についても,各薬剤の推奨レベルを下げ,出血リスクとの兼ね合 いで投与の可否を決定し,理学的予防を推奨に採用した.一方,IUAのコンセンサスステートメント,静脈疾患における圧迫療法のガイドラインでは,無症候性DVT(中枢型)の評価は意義があるとしており,相反している58, 448). 日本人と欧米人ではVTEの発症率に差があるとされ,また,承認薬剤が欧米と異なることより,わが国独自の予防ガイドラインが必要となる.2004年の「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」464)発行後,2025年3月現在「産婦人科診療ガイドライン産科編2023」465),「脳卒中治療ガイドライン2023」(VTE予防に関しての記載がある) 466),日本整形外科学会「症候性静脈血栓塞栓症予防ガイドライン」467)が発行されている.また, 2017年8月に医療事故調査・支援センターが「急性肺血栓塞栓症に係る死亡事例の分析」を「医療事故の再発防止に向けた提言第2号」(以下,提言)として公表している468).本提言は,PTEにて死亡したと確定診断された8人を詳細に検討し,6 つの提言を行っている(表18) 468).PTEのリスクの認識,患者教育,DVTの早期発見,PTE発症時の早期診断・治療,院内体制整備からなる.