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4.6 重症度分類

重症度分類には,上述の臨床的パラメータおよび画像所見やバイオマーカーなどを組み合わせて用いられる.急性PTEは一般外来や救急,専門外の診療科でも診断されることが多いため,専門診療科へのすみやかなコンサルテーションの必要性を判断する一助として,米国心臓協会(AHA)のガイドラインで提唱されている血行動態と心エコー図検査における右室機能不全による簡便な重症度分類が,わが国の日常臨床でも広く用いられている205, 206)(表10).

一方,近年では2019年改訂版ESCガイドラインでも提唱されている,血行動態,画像所見およびバイオマーカーに加えて臨床的パラメータを基にした層別化スコア(PESI/ sPESI)を組み合わせ,重症例から軽症例をより詳細に分類する方法が,わが国でも専門診療科を中心に広く普及している2)(表11) 2).同重症度分類では,急性PTE患者を早期死亡率という観点から,高リスク群,中[高]リスク群,

中[低]リスク群,低リスク群の4群に分類している.

4.7 DVTの診断フローチャート

急性DVTの確定診断は画像診断によって行われる.画像診断には,下肢静脈超音波検査,造影CT検査,MRI検査,静脈造影検査などがある.現在は下肢静脈超音波検査および造影CT検査が確定診断の標準的な画像検査となっており,特に下肢静脈超音波検査は,造影剤使用や放射線被曝を伴わないため非侵襲的であり,広く普及しており207, 208),わが国では全下肢の下肢静脈超音波検査が一般的となっている.

急性DVTの診断フローチャートを図8 に示す.病歴,問診,診察よりDVTを臨床的に疑った場合,疑診例のすべてに画像診断を施行するのでなく,検査前臨床的確率の推定を行い,またDダイマー値を参考に画像診断の必要性を検討する方針が効率的である.検査前臨床的確率の推

表10 血行動態と心エコー図検査による右心負荷所見による急性PTE の重症度分類

血行動態心エコー図検査で右心負荷

cardiac arrest/ collapse心停止あるいは循環虚脱あり

massive(広範型)不安定ショックあるいは低血圧(定義:あらたに出現した不整脈,脱水,敗血症によらず,15分以上継続する収縮期血圧<90 mmHgあるいは≧40 mmHgの血圧低下)ありsubmassive(亜広範型)安定(上記以外)ありnon-massive(非広範型)安定(上記以外)なし(Jaff MR, et al. 2011 205),Task Force on Pulmonary Embolism, European Society of Cardiology. 2000 206)を参考に作表)

表11 血行動態,画像所見,バイオマーカーおよび臨床的パラメータのスコア(PESI/sPESI)による急性PTE

の重症度分類クラス分類ショックあるいは

低血圧PESI III-V あるいは

sPESI ≧1右室機能不全*1

(画像所見による)心臓バイオマーカー*2

高リスク+ (+) + +中[高]リスク- + + +中[低]リスク- +どちらか1つ(+)あるいは,両方(-)低リスク- - -必須ではない実施した場合は- *1右室機能不全(心エコー図検査,CT):右室/左室比が0.9もしくは1.0以上,four chamber view拡張末期で評価.右室自由壁運動低下,三尖弁逆流血流速上昇,

*2心臓バイオマーカー:トロポニンIないしトロポニンTの上昇,BNPないしNT-proBNPの上昇. (Konstantinides SV, et al. 2020 2)より) ©The European Society of Cardiology 2019. All rights reserved.