p.32 抽出テキスト
ルサインのみによる重症度判定は,すみやかに判定することが可能であり,それらをもとにしたリスクスコアも提唱されている.近年では,PESI 90)の簡易版であるsPESI 91, 92)が普及しつつある(表5).sPESIはベッドサイドでも簡便に使用できるため,重症患者の選定だけでなく,最近では外来治療を考慮する軽症患者の選別に用いられることも多くなっている. 4.4 画像所見 急性PTEの診断時にも実施される心エコー図検査およびCT検査などの画像所見は,右室機能不全の評価に用いられる.心エコー図検査により右室機能不全(右心負荷)が認められることは,血行動態の状況にかかわらず独立した予後不良因子であることが報告されている196-198).また,右室機能不全(右心負荷)の診断法の1つとして,右室と左室の内腔の比が用いられる.通常右室は左室の半分程度の内腔であるが,PTEにより肺動脈圧が上昇すると右室の内腔が拡大するため,右室/左室比が上昇し,0.9以上に なると右室機能不全と判断される199-201).造影CT検査では,静脈相で腹部から下肢の撮像を行うことにより,塞栓源の検索を同時に行うことができる. 4.5 バイオマーカー 近年,急性PTEの重症度判定に心臓に特異性の高いバイオマーカーが利用されており,BNPまたはNT-proBNP,およびトロポニンIまたはTなどのバイオマーカーの有用性が報告されている196, 202, 203).BNPのカットオフ値は75~100 pg/mL,NT-proBNPのカットオフ値は600 pg/mLとされている204).トロポニンTのカットオフ値は14 pg/mLで高い陰性的中率が報告されているが,急性PTE発症後,値が上昇するまで数時間要することが指摘されている196). 図7急性PTE の診断フローチャート*1 通常の心肺蘇生法のみでは有効でない場合も多いため,すみやかなV-A ECMO導入の 検討を行う.導入後は造影CT検査の代用として肺動脈造影も考慮する. *2 低血圧もしくはショックを伴う急性PTEを疑う場合には,心エコー図検査による評価 も参考に,その時点でヘパリンの投与を検討する. *3 詳細は表7を参照.胸部X線・心電図・動脈血ガス分析・経胸壁心エコー図検査,血 液検査を検討する. *4 造影CT検査の実施に時間がかかる場合には,心エコー図検査による評価も参考とする. (Konstantinides SV, et al. 2020 2)を参考に作図) 循環虚脱もしくは心肺停止 低血圧もしくはショック*2 検査前臨床的確率の推定*3 V-A ECMOの導入*1 採血検査:Dダイマー造影CT検査*4 病歴/問診/診察によりPTEを臨床的に疑う はい はい 高い 上昇 いいえ いいえ 正常 急性PTEは否定的 低いあるいは中程度