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p.30 抽出テキスト

肢静脈超音波検査を施行する方が望ましい.また超音波検査で血栓年齢を推定でき,血栓が急性,亜急性,慢性血栓であるかある程度推定できる(表9)

178).

2.2.6 CT

最新の多列検出器CT(MDCT)は高い感度と特異度を示すことから,PTEの診断におけるもっとも標準的な検査である.特に肺動脈を亜区域レベルまで適切に可視化できることから,PTEの診断におけるMDCTの感度は約83%,特異度は96%であり,特に検査前の臨床的確率が高い患者での陽性的中率が92~96%と高く,低い患者における陰性的中率も96%と高い181).

MDCTは肺動脈内血栓だけではなく,DVTも同時に評価できる182).造影MDCTにおける中枢型DVTの診断に関しては,併存疾患やiliac compressionの発見にも有用である.腸骨,大腿,膝窩領域でのDVT診断感度は89~ 100%,特異度は94~100%と報告されており183-185),特に下大静脈(IVC)や腸骨静脈領域では超音波検査よりも優れた診断能を示す186).このため,PTEが疑われる場合には下肢静脈超音波検査に優先して造影CTが実施されることが多い.

2.2.7 肺シンチグラフィ(換気,血流)

MDCTの普及に伴い,PTE診断における肺シンチグラフィの使用は減少しており,造影剤アレルギーや腎機能低下例などCTが適さない患者に有用である.急性PTEでは,換気は正常で血流に欠損がみられるミスマッチが特徴的であるが,胸部単純X線で肺野に異常所見を認めない場合には,血流シンチグラフィ単独の所見でも換気シンチグラフィ併用時と診断能は変わらない187).近年は単光子放出

型CT(SPECT)を使用することで診断精度が向上し,非診断率も低下している188).ただし,急性のPTEに関して迅速な診断に活用できる医療機関は限定的である.

2.2.8 肺動脈造影・静脈造影(DSAを含む)

肺動脈造影は従来PTE診断のゴールドスタンダードとされてきたが,CTの普及によりその使用は減少している.侵襲的な検査であるため,他の非侵襲的な検査で診断が困難な場合や,血行動態評価およびカテーテル治療を検討する場合に限られる.デジタルサブトラクション血管造影(DSA)により,亜区域動脈内の1~2 mmの小さな血栓も可視化できるが,読影に際して実施者間のばらつきが大きいという課題がある189, 190).静脈造影はDVTの診断に用いられ,下肢の深部静脈の形態を詳細に評価できるが190a),こちらも侵襲的であるため,現在は超音波検査やCTによる評価が優先される.

2.2.9 MRI

MRIは放射線被曝がないため,安全性が高い検査である.しかし急性PTEの診断においては感度がCTに比べて劣り191),撮影時間が長いことや,重症患者での実施が難しいなどの課題がある.そのため,現時点ではPTE診断の第一選択とはなっていない.

表9急性期と慢性期 DVT の下肢静脈超音波検査所見の特徴

判定指標急性期慢性期

静脈形態閉塞・狭窄狭窄

静脈径拡大縮小

血栓内部超音波均一,一部不均一不均一

輝度低~中高~石灰化超音波退縮なしあり硬さ(被圧迫性)軟硬先端の浮遊ありなし

血流血流欠損全・高度欠損軽度欠損

血栓内の再疎通なしあり側副血行なしあり

(Meissner MH,et al.2007 178)を参考に作表)