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p.21 抽出テキスト

sPESIは,一般的な患者背景とバイタルサインの6項目のみで,ベッドサイドでも簡便に使用できる.そのため重症患者の選定だけでなく,最近では軽症患者の選定に用いられることも多くなっている.日本人でも,sPESIによりPTE患者の急性期死亡リスクを適切に評価できることが報告されている93, 94).

5.2 DVTの予後

骨盤内および下肢の静脈のDVTはPTEと同じく,早期の適切な治療により予後が改善される95).DVTの急性期予後に関係する病態には,血栓による静脈還流障害のほかに,急性PTEの併発および奇異性塞栓症がある.急性PTEの併発はDVT患者においてもっとも注意すべき病態であり,早期の診断および抗凝固療法による適切な治療がその予防に重要である39).奇異性塞栓症は,原因ともなる卵円孔開存と塞栓源としてのDVTの診断が重要となる.また,

DVTは急性期のみならず,慢性期の病態として,血栓後症候群(PTS),VTEの再発,慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)発症の一因となる可能性があげられる43).

5.3 VTEの再発予後

VTEの再発予後は,発症時の危険因子により大きく異なる.一過性の可逆性因子が誘因となった場合の再発リスクは低いが,永続的な持続性因子が誘因となった場合は,それが持続するかぎり再発リスクは高い.誘因がない場合の再発リスクは,その中間程度と考えられている(図2) 96).

わが国の観察研究であるJAVA(Japan VTE Treatment Registry)では,急性の症候性VTE患者1,076人において,ワルファリン治療中のVTE再発率は2.8人/100患者・年であったが,ワルファリン治療終了後には8.1人/100患

図2発症時のリスク別のVTE 再発予後(Kearon C, et al. 2016 96)より) ©2016 International Society on Thrombosis and Haemostasis. Published by Elsevier inc., with permission from Elsevier.

一過性の誘因のあるVTE誘因のないVTE持続的な誘因のあるVTE

一過性の誘発因子誘因なし持続的な誘発因子

再発リスク低高

表5 PESI スコア

ポイントPESI sPESI

年齢+年齢1(>80歳)男性+10 -がん+30 1慢性心不全+10 1慢性肺疾患+10脈拍数110回/分以上+20 1収縮期血圧100 mmHg未満+30 1呼吸数30回/分以上+20 -体温36°C未満+20 -精神状態の変化+60 -酸素飽和度90%未満+20 1クラスポイント(PESI) 30 日間死亡リスク%

I ≦65非常に低い0~1.6 II 66~85低い1.7~3.5 III 86~105中等度3.2~7.1 IV 106~125高い4.0~11.4 V >125非常に高い10.0~23.9

ポイント(sPESI) 30 日間死亡リスク

0 1.0%(95%CI 0.0~2.1)

≧1 10.9%(95%CI 8.5~13.2) (Aujesky D,et al.2005

90),Jiménez D,et al.2010 91),Righini M, et al. 2011 92)を参考に作表)