GL検索 v0.1.0
画像は 15 ページを描画したものです
page 15

p.15 抽出テキスト

推奨クラスとエビデンスレベル

本ガイドラインでは推奨クラスとエビデンスレベルについて,表1および表2の通り分類し,推奨クラスの文言も欧米諸国のものと整合性を担保できるように統一した.実際の推奨に関しては海外の静脈血栓塞栓症および肺高血圧症に関するガイドラインとの整合性も考慮しながら,人種差やわが国独自のエビデンスや治療法もふまえて決定をしている.

なお,本領域は古くから用いられている治療も多く含まれている.特に稀少疾患である肺高血圧症に関しては無作為化比較試験などのエビデンスが不十分であり,統一した文献検索式によるシステマティックレビューは難しい.厚生労働省の「難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究」班が実施している肺高血圧症の各種診療ガイドライン作成においては,肺高血圧症領域におけるシステマティックレビューが行われているが,実際には多くの診療領域を十分にカバーできないのが現状である.そのため,本ガイドラインにおいては「Minds診療ガイドライン作成の手引き」に準拠したMinds推奨グレードおよびMindsエビデンスレベル分類については割愛した.

市民・患者への情報提供

本ガイドラインは,医療者向けの本文に加え,患者さん向けの情報も収載している.これは患者さんご自身やご家族にも疾患への理解をできるだけ深めていただき,よりよい診療を実現することを目指したものである.

日本循環器学会ガイドラインは診療に従事する当該疾患の専門医はもちろんのこと,スクリーニングに関与する非専門医・プライマリケア医に加えて,一般市民・患者・患者団体にまで利活用が広がっている.このことから,市民・患者への情報提供の項目を設けることで,そこを入り口として,医療者と患者さんが情報を共有しながら最適な治療に関して合意したうえで実施するshared decision makingとよばれる患者参加型医療の促進を図るきっかけとなることを願っている.

第1章 VTEの定義,疫学,予後

1 病態と疾患の定義

深部静脈血栓症(DVT)は四肢の深筋膜より深部を走行する深部静脈に生じた血栓症を指し,表在静脈に生じ静脈

壁の炎症を伴う血栓性静脈炎とは区別される.上肢より下肢に生じやすく7-10),血栓の存在部位により膝窩静脈を含み,より中枢側にある血栓を中枢型(近位型),膝窩静脈より末梢の血栓を末梢型(遠位型)と分類する.中枢型DVTは右側より左側に多いとされる10).理由としては,左腸骨

表1推奨クラス分類

クラスI手技・治療が有効・有用であるというエビデンスがある,あるいは見解が広く一致している.クラスIIaエビデンス・見解から,有効・有用である可能性が高い.クラスIIbエビデンス・見解から,有効性・有用性がそれほど確立されていない.

クラスIII No benefit手技・治療が有効・有用でないとのエビデンスがある,あるいは見解が広く一致している.クラスIII

Harm手技・治療が有害であるとのエビデンスがある,あるいは見解が広く一致している.

表2エビデンスレベル

レベルA複数の無作為化介入臨床試験またはメタ解析で実証されたものレベルB単一の無作為化介入臨床試験または無作為化介入でない大規模な臨床試験で実証されたものレベルC専門家および/ または小規模臨床研究(後ろ向き研究および登録を含む)で意見が一致したもの