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定してから2ヵ月後以降に,まず入院にて,心拍数,血圧やSpO2などのバイタルサインを監視の下,自転車エルゴメータ,歩行や低強度でのレジスタンストレーニングが実施されている1314).運動の様式,頻度,強度,持続時間はいまだ確立されていない.治療により循環動態が改善され安定していても,肺血管障害の残存により運動時に肺循環応答異常が生じる可能性があるため631, 1323),十分な注意が必要である.PH治療およびリハビリテーションの経験豊富な施設において,厳重な監視下にて,過度とならないよう慎重に実施するべきである. さらに,運動療法の効果を十分に発揮するためには,呼吸筋訓練1314)や,運動に対するアドヒアランスを高めるための患者教育・指導などを併用した包括的アプローチを,多職種が連携し,行う必要があると考えられる. 第2群と第3群PHに関してはリハビリテーションについてのエビデンスが乏しく,慎重に行う必要がある. 1.2 一般的対応 1.2.1 手術 I/HPAHは全身麻酔を要する手術のリスクが高く,緊急手術ではさらに高リスクである1324, 1325).手術可能かどうかはPHの重症度,手術の侵襲度などを総合的に判断する必要がある.術前のリスク評価やPAHへの治療強化,麻酔の方法などPH専門医と各専門科との連携が必要である.手術を要する場合はPH専門施設に相談することが推奨される. 1.2.2 予防接種 PH患者に特化したインフルエンザ,肺炎球菌,SARS- CoV-2ワクチンの前向きRCTは行われていない.心血管疾患患者(心不全,冠動脈疾患)におけるインフルエンザワクチン1326, 1327)の有効性に関するRCTでは,高リスクの冠動脈疾患において有効性を示す試験が多い.肺炎球菌ワクチンの心血管疾患患者におけるRCTでは全死亡,心血管死亡の抑制が示されている1328).SARS-CoV-2ワクチンは感染時の心血管イベントが抑制できたことがいくつかの観察研究で示唆されている1329-1331).よって,いずれのワクチンも慢性肺疾患,心血管疾患などの基礎疾患を有する患者で接種が推奨されており,PH患者もこれに準じ接種を推奨する.わが国では60歳以上の高齢者に対するRSウイルスワクチンが2024年3月に薬事承認されたが,基礎心肺疾患を有する対象で特に推奨すべきか今後の検討が必要である. 1.2.3 高地曝露(旅行,飛行機) 航空機は高高度巡航中,機外の気圧低下に抗して機内気圧を維持するが,1機体重量(燃費や航続距離),2機体の膨張ストレスを考慮し,機内圧力を0.74気圧程度(海抜2,000 m相当)と低めに維持している.よって,海抜0 mと比較し機内の酸素分圧は低下しており,搭乗者のSpO2は低下する(気圧低下によるSpO2低下は2 L/分の酸素流量に相当) 1332).安定しているPH患者では措置なく安全に航空機を利用できたとするアンケート調査も報告されている1333)が,高高度巡航中の機内ではフライト時間,高度,フライト中の歩行などの要因とともに低酸素血症が顕在化する1334)ため,航空機利用ではPAHの重症度,治療状況,フライト時間などを総合的に評価し検討すべきである.特に地上(海抜0 m付近)安静時にPaO2<60 mmHg(SpO2<90%目安)である患者では,航空機利用時に酸素投与を考慮する.高地への旅行も同様の対応を考慮する.海抜0 mで低酸素血症のない(PaO2>55 mmHg)PH患者(PAH,CTEPH)における高地運動のクロスオーバー試験で,高地(2,500 m)では低地(470 m)と比較して低酸素血症が顕在化し,運動中の心拍数,TRPGの上昇,ならびに運動耐容能(運動持続時間)の短縮が確認されている1335).現地で状態が悪化した場合を考慮し,受診できる施設を事前に調べておくことが望ましい. 1.2.4 心理社会的サポート I/HPAHなど一部のPHは生命予後が改善しているが, PH患者は身体的制限のほか,家族を含めて抑うつや不安などの精神的な負担が大きく1336-1340),社会的にも仕事や収入面で負の影響を受けることが多い1341).特にわが国では第1群,第4群PHが指定難病であり,公的医療費補助のサービスがある.多職種によるサポートや公的サービスや患者会への紹介など多面的な社会支援を提供する必要がある. 1.3 妊娠出産管理(推奨表47) 母体死亡率はかつて30~50%台と高率であったが1342), PAH治療薬が進歩した2000~2010年に10~20%台に低下している1343-1345).Ca拮抗薬に反応性があるPAH患者や軽症PAH患者の妊娠については,比較的予後は良好との報告がある1346-1348).一方,アイゼンメンジャー症候群を含む重症PAH患者の母体死亡率は依然10~20%台と高率である1349, 1350).