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p.145 抽出テキスト

乳酸値を末梢還流の指標とする.カテコラミンの使用を考慮し,アドレナリン0.1μ g/kg/分を超える場合は,バソプレッシンや早期のヒドロコルチゾン投与を検討する.多血症は,血液粘稠度の上昇に伴いPVRが上昇するため補正する.

3.1.5 PPHNに対するPH特異的治療

iNOは正期産児で死亡またはECMO導入の発生率を下げる1308).通常5~20 ppmを用い,20 ppmで開始することが多い.20 ppmを超えるiNOはメトヘモグロビン血症などのリスクを高くする.呼吸障害を合併する早産児のPH予防にiNOを使用することは推奨されない1309).iNOの減量について,酸素化改善が得られれば通常5 ppmまでは比較的速く減量でき,5日以内に中止できることが多い. iNOの中止でPHのリバウンドがみられる場合は1 ppmまで減量してから中止するなど工夫する.

PPHNの病態にPDE5阻害薬の有効性が示唆され,6時間ごとに経管投与でシルデナフィル0.5~1.0 mg/kg/doseが用いられている1310).3つのRCT,計77人のPPHN新生児のメタ解析から,シルデナフィルが酸素化を改善し,死亡率を低下させる可能性が示されている1311).

右室機能不全を伴う症例では,PGE1製剤で動脈管を開存させることで右室負荷を軽減することが考慮される.ただし下半身の酸素飽和度は低下する.

PPHNに対する他の肺高血圧標的治療薬(エンドセリン受容体拮抗薬,PGI2製剤)使用の可能性はあるが,長期予後は不明な部分が多い.

3.1.6 PPHNに対するECMO

ECMO導入は,在胎週数34週以上,体重2 kg以上で,適切な治療に抵抗性のPPHNに対し考慮する1312).PIP> 28 cmH2O(HFOではMAP>15 cmH2O)でもpreductal SpO2<85%,酸素化指数40以上,水分負荷と強心薬に抵抗する低血圧,12~24時間の尿量が0.05 mL/kg/時未満,代謝性アシドーシス(乳酸>5 mmol/L,pH<7.15)が続くなどを目安にする.

3.2 BPD,nCLDに伴うPH

先天異常を除く肺の異常により酸素投与を必要とする呼吸窮迫症状が新生児期に始まり日齢28を超えて続くものを新生児慢性肺疾患(nCLD)とよぶ.早産児の未熟な肺に多因子による肺障害が影響し発症するもの(BPD)が多く,PHを合併することがある.PHを併発したBPD児を対象としたメタ解析では,重症BPD,敗血症,子癇前症,

や神経発達予後を悪化させる.アシドーシスは,肺血管収縮,心収縮力抑制,iNOへの反応障害を起こすため補正する.一般的にpH 7.25~7.30未満は避ける.

体血圧は在胎週数に応じた生理的範囲に保ち,尿量や

推奨表45 PPHN の治療に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

preductal SpO2 を91~95% に保つために,酸素投与,人工換気,必要に応じてサーファクタントを投与する(ただし,肺の過膨張や無気肺,肺虚脱による85% 未満の酸素飽和度低下,preductal SpO2 が97% を超える高酸素血症は避ける). I B人工換気中で以下の場合には,酸素化の改善とECMO 回避のためにiNO を行う(1100 %酸素投与下でPaO2 <100 mmHg,2酸素化指数[OI]>25). I A出生直後数時間以内の急性PPHN に対して,二酸化炭素分圧(PaCO2)45~60 mmHg,乳酸<5 mmol/L,pH >7.25を保つことを考慮する. IIa B重症PPHN で三尖弁後の有意な短絡疾患(例:大きなVSD)がない場合に,右室機能不全に対して動脈管の開存を保つためにPGE1 を投与する. I C PPHNに肺拡散障害(ただしCDHを除く)を合併している場合,気管内サーファクタント投与を考慮する(例:MAS にPPHN を合併した新生児). IIa B在胎34 週以下の早産児では,遷延性前期破水や羊水過少に関連したPPHN に対してiNO を考慮する. IIa B iNO が使えない場合に,経口シルデナフィルの投与を考慮する. IIa B静注プロスタノイド(専用の中枢ラインから)または吸入イロプロストの投与を考慮する. IIa B心室収縮機能障害がある場合に,ミルリノン静注を考慮してもよい. IIb C正期産または晩期早産児のPPHN にERA を考慮してもよい. IIb C PH を合併する新生児に肺血管拡張療法を行う前には肺静脈狭窄の鑑別を考慮する. IIa Bいかなる治療にも反応しない重症のPPHN ではECMO 導入を考慮する. IIa B在胎34 週未満または体重2,000 g 未満の新生児に対するECMO は行うべきではない. III Harm B