GL検索 v0.1.0
画像は 143 ページを描画したものです
page 143

p.143 抽出テキスト

群など)や生後3ヵ月までの小児でみられる生理的肺高血圧に留意しなければならない.小児では体格の個人差が大きいことから,標準化のために体表面積で補正した値を用いることが一般的で,COではなく心係数(CI)を,PVRではなくPVRIを用いる.成人体表面積(1.73 m 2)で換算すると,米国のガイドラインで正常とされるPVR≦2~3 Wood単位1300)は,PVRI≦1.2~1.7 Wood単位・m 2 に相当する.AVT 1290)や標的治療薬による治療の反応性などの動的指標による評価も有用である.わが国では八巻らが考案したIPVD 647)を用いて,PHを合併するCHDの修復手術の可否を,肺生検による末梢肺小動脈の病理所見によって判断することも多い.推奨を推奨表44に示す.

2.3 重症度と治療指針

重症度の指標項目と数値の大部分はIPAH患児で評価,検討されたものであるが,CHD-PAHにおいても高リスク指標に該当する項目があれば,低リスクとなる範囲を目標として治療する.CHDでは,必要かつ可能な場合, 適切な時期に適切な手術を行う.推奨を推奨表44 に,小児CHD-PAHの治療アルゴリズム1256, 1301)を図33 1256)に示す.

IPAH/HPAHとは異なり,CHD-PAHに対するAVTの目的は手術後の短期的または長期的なPHの残存の予測である.小児CHD-PAHのAVTには,iNOまたは,iNO+酸素を使用(NOが入手できない場合には吸入イロプロストで代用可)する.肺/体血流比>1.5 のシャント疾患では, PVRIおよびPVRI/SVRIともに20%を超えて低下し, PVRI<6 Wood 単位・m 2かつPVRI/SVRI<0.3を満たした場合に陽性とする1256).図33のPVRI 6~8 Wood単位・m 2,PVR/SVR 0.3~0.5 にあたる症例では,フェネストレーションを設ける修復手術も考慮される.単心室右心バ

イパス術後症例についての推奨も推奨表44に示す.症例数は限られているが,シルデナフィルやボセンタン,イロプロストが運動耐容能などを改善することがRCTによって示された1302-1304).

3 新生児期のPH

出生直後に存在する生理的肺高血圧は,時間経過とともに肺動脈圧が段階的に低下し,生後3ヵ月頃までには正常の肺動脈圧となる.新生児期に生じる病的な肺高血圧として,PPHN,気管支肺異形成・新生児慢性肺疾患に伴うPH(BPD/nCLD-PH),先天性横隔膜ヘルニアに伴うPH (CDH-PH)などがある.

3.1 PPHN

3.1.1 疫学,予後

PPHNの発症率は,1,000出生に対し約2人と推定され, ECMOを要する重症PPHNは晩期早産児や早期正期産児で発症しやすい1305).PPHNの早期死亡率は8~10%と高く,遠隔期(1歳6ヵ月時)における障害(精神発達遅滞,脳性麻痺,難聴,盲)の割合も高い1306).

3.1.2 病態生理

出生後の第1呼吸により,肺の機能的残気量が確立するとPVRは急激に低下し,肺血流は胎児期の8~10倍に増加する.PVRの低下は,酸素分圧上昇に加えて肺血流増加による生理的肺血管拡張物質(一酸化窒素やPGI2)の産生も関与する.胎便吸引症候群(MAS),重症の呼吸窮迫症候群(RDS),敗血症などの原因により出生後のPVRが高い状態が続き,肺動脈圧が高く高度の低酸素血症を呈する病的状態がPPHNである.PPHNは出生直後から生後数日以内に起こるが,生後30日以内に起こる同様の病態もPPHNとよぶ.

3.1.3 症状,診断

著明な低酸素血症と酸素飽和度の上下肢差(下肢が上肢より5~10%以上低い)を認める.心エコー図検査は心血管構造,心機能,血行動態評価に必須であり,重症PPHNでは動脈管および卵円孔でともに右左(または両方向性)シャントを認める.鑑別診断として,チアノーゼ性CHD

表47 パナマ分類

カテゴリー内容

1 胎児期または発生の異常に続発

2 周産期の肺血管適応の異常

3 心血管疾患に続発

4 気管支肺異形成に続発

5 孤立性の肺血管疾患

6 先天性奇形症候群に合併

7 肺疾患に続発

8 血栓塞栓症に続発

9 低気圧性低酸素に続発

10 他臓器疾患に続発

(Cerro MJ, et al, 2011 1298)より)​ ​ ©Cerro MJ, et al. Reproduced with permission of John Wiley & Sons Ltd.