p.139 抽出テキスト
例は成人よりも多いとされているが1237),Ca拮抗薬を開始した場合にはその3~4ヵ月後に血行動態の改善を確認すること,改善がみられなかった場合にはAVT陰性のPAH患者に対するPAH特異的薬剤を用いた治療戦略への移行が推奨される(図32). 低リスクの患者では経口または吸入の肺血管標的治療薬を用い,高リスクの患者では,エポプロステノール持続静注を含む初期多剤併用療法を行う.シルデナフィルは,高用量(>3 mg/kg/日)では潜在的な死亡リスク増加の可能性が報告されており1291),用量には注意すべきである.最大限の内科治療に抵抗性を示す症例では,姑息的心房中隔裂開術,Pottsシャント術,肺移植の適応となる1263). 1.7 管理 PHが疑われる場合はPH専門施設へ紹介し,定期的な病態,血行動態評価を行い,必要に応じて治療を行う.日常生活では,特に幼少児では感染症(呼吸器,消化管など)罹患時の急性増悪に注意を要す.本人および家族へのインフルエンザなどのワクチン接種を推奨し,発熱時には,酸素需要供給バランスが破綻しないよう解熱薬投与や酸素吸入を行う. わが国では,心疾患を有する学童と同様に,重症度を考慮し,学校管理区分にもとづき登校や体育・課外活動への参加を決定する.小児I/HPAHでは運動による増悪や失神 のリスクがあり,WHO機能分類I/II度であっても,原則として体育は見学または軽い運動のみ参加とし,1~2ヵ月間隔で観察,評価する.治療経過中(特に長期のエポプロステノール持続静注)に甲状腺機能異常を呈する症例が報告され,定期的な甲状腺検査(年1~2回)が推奨される1292, 1293).喀血は,重大な予後と関連するのみならず,直接的な死因にもなりうるため迅速な対応が求められる1256, 1294). 2 CHDに伴うPH PHはCHDの予後を左右する重要な合併症で,基礎心疾患の種類のみならず,患児の年齢,シャント部位(三尖弁前後のいずれか)やシャント量,慢性肺疾患の既往,染色体異常や奇形症候群の合併,PH関連遺伝子変異の有無など多くの因子による影響を受ける.近年CHD-PAH関連遺伝子として,SOX17が報告された1295).各病態に対する診断・管理・治療に関する推奨を推奨表44に示す. 反応あり かつ1歳超反応なし 一般的支持療法 再評価 肺移植 Ca拮抗薬 改善 Ca拮抗薬継続RHC検査急性肺血管反応試験 (経口,吸入)PAH標的 治療薬*1, *2 心房中隔裂開術・ Pottsシャント PGI2(静注/皮下注)と経口PDE5阻害薬, ERAの早期併用*3 はいいいえ IPAH/HPAHの診断専門施設へ紹介 治療効果評価(治療開始後3~4ヵ月)リスク評価低リスク高リスク PAH標的治療 図32 小児IPAH/HPAH の治療アルゴリズム*1経口2剤初期併用(PDE5阻害薬+ERA), *2経口・吸入PGI2 3剤併用(PDE5阻害薬+ERA+PGI2[経口・吸入]), *3静注・皮下注PGI2併用(PGI2(静注/皮下注)+PDE5阻害薬+ERA) (Hansmann G, et al. 2019 1256)を参考に作図)