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p.137 抽出テキスト

1.5 診断とリスク評価

1.5.1 診断

小児I/HPAHの症状は,運動時息切れ(44~66%),易疲労性(25~55%)が多く,失神は18~36%にみられる1216, 1224, 1225).症状は非特異的であり577, 590, 654, 719),診断が遅れる傾向が示され1216, 1224),しばしば,PAH診断前に喘息やてんかんなどと診断されることがある1234).わが国ではI/HPAH例の約1/3は学校心電図検診を契機に診断され,多くはWHO機能分類IまたはIIの比較的症状のない患者であるが,かならずしも軽症例ではない点は注意を要する1225).小児I/HPAHは,成人に比べPAPは高いがCIは良好で,右房圧が低く,運動耐容能も比較的保たれる,過度な運動に伴って著しい呼吸困難や失神をきたしやすい,などの特徴がある1235, 1236).

診断は,成人と同様のPH診断アルゴリズム(図31)

1237)

に準拠する.小児PHの原因は多様であり,有病率の高い背景因子(CHD,肺疾患)や併存疾患(膠原病,肝門脈疾

患)の検索が必要である.心エコー図検査によるPHの評価では1238, 1239),三尖弁逆流の最大流速597, 1240), TAPSE 1241-1243),肺動脈血流加速時間1244-1247),収縮期の左室扁平化率LVEI 1248),組織ドプラでの三尖弁e′ 1249)などの指標が用いられる.心臓カテーテル検査は,診断の確定や,重症度やリスク評価に重要であるが,幼少児では検査に起因する重篤な合併症の出現率が高いため,慎重な検討を要する1250-1254).特にNYHA/WHO機能分類IV度の幼少児では,侵襲的検査を避け,心エコー図検査などで第1群(PAH)と暫定診断がつけば治療を優先し,心臓カテーテル検査は病状の安定化後に行うことも考慮される(推奨表40).

1.5.2 予後・重症度評価

a. 予後

有効な治療薬がなかった2000年以前のI/HPAHの予後は,小児例の平均生存期間が10ヵ月と,きわめて不良であった667).最近の成績としては,診断後5年生存率は74%

重症PHや右室機能低下(-)中等症~重症のPHや右室機能低下(+)

小児PHの専門施設へ紹介肺疾患を治療

はいはいPHではなさそう

PHなし

IPAH/HPAH,遺伝子検査

肺疾患と確定?

併発疾患の考慮

症状,身体所見,遺伝性症候群PHを疑わせる現病歴や家族歴

小児PHで有病率の高い疾患

(例: CHD,慢性肺疾患)心エコー図,心電図,X線

PHを示唆する所見

V/Qスキャン 施行(CTEPH)

不均等の欠損像?

心臓カテーテル検査(AVTを含む) mPAP>20 mmHg,PAWP≦15 mmHgかつPVRI≧3 WU・m2

CHD,PoPH,CTD, HIV,薬剤,PVOD

CTEPHの疑い造影CTや選択的PA造影検査

病歴,所見,危険因子,呼吸機能DLCO,睡眠ポリグラフ,胸部CT他の器質的疾患を考慮

または再検査

はい

はいはい

はいいいえ

いいえ

いいえ

いいえ

いいえ

図31 小児PH の診断アルゴリズム(Rosenzweig, EB. et al. 2019 1237)より改変) ©ERS 2019. CC BY-NC 4.0