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ないことが重要である.

6 線維性縦隔炎

線維性縦隔炎は,縦隔内の線維組織が増殖し,縦隔気管血管構造を圧迫して惹起される1213).外因性圧迫により,

前毛細血管またはpcPHが線維性縦隔炎の経過を複雑化することがある.原因は特発性であることも,放射線,感染(結核,ヒストプラズマ症),サルコイドーシスやIgG4関連疾患などの全身性疾患によるものもある.治療は原疾患に対して行われ,PAH薬による明確な臨床的改善の報告はない.

第11章 小児におけるPH

1 小児のIPAH/HPAH

1.1 小児における肺高血圧

小児のPHは,成人期のPHと多くの共通点がある一方で,疫学,病因,遺伝的側面,年齢により診断,評価,治療法などに違いがある.小児期の肺発達に関連する病態は特徴的である.

1.2 小児肺高血圧の疫学

小児PHの発症率は年間64/100万人と報告されている1214).小児PAHの大部分は一過性のPH(修復可能な左右シャントによる肺血流増加など)であり,続いてI/ HPAH,CHDに伴うPAHが多い.気管支肺異形成(BPD),先天性横隔膜ヘルニア(CDH)などの発達性肺疾患(developmental lung disorders)は34~49% を占める1214-1217).肺胞毛細血管形成不全,TBX4変異関連肺疾患などを含む遺伝的発達性肺疾患も,このカテゴリーに分類されている1218).21トリソミーなどの染色体異常例が多いことも小児PHの特徴である1218). 1.3 小児のI/HPAHの疫学

小児I/HPAHの発症率は年間0.48~0.7人/100万人,有病率は2.1~2.2人/100万人と報告されている1214, 1219, 1220).日本小児循環器学会が行っている小児期発症心疾患実態調査1221)によると,ここ数年のわが国における小児I/ HPAHは年間24~43人であることから,発症率は約1~ 2/100万人と推定される.女/男性比は,成人(1.7~ 4.1) 590, 654, 667, 719)に比し,小児では0.9~1.6 と比較的低い1214, 1222-1225).

1.4 小児におけるHPAH

小児PAHにおける遺伝子変異は,成人と同様に散発例の20~30%,家族例の70~80%に同定される653, 1226). BMPR2変異がもっとも多いが,アクチビン受容体様キナーゼ(ACVRL1)

1214),T-box転写因子(TBX4)の変異が多い

ことは小児の特徴である1227-1229).TBX4は,肺や骨格の発達とも関連する遺伝子であり1230),保有率はBMPR2に次いで高い1226).乳幼児期に集積がみられるが,成人PAHや第3群PH(developmental lung disorder)でも同定される1231).BMPR2,ACVRL1の変異は,小児においても予後因子であると報告されている1232).小児のPH患者とその家族には遺伝カウンセリングや遺伝学的検査が推奨される1233).