GL検索 v0.1.0
画像は 134 ページを描画したものです
page 134

p.134 抽出テキスト

第10章 詳細不明および/または多因子の

メカニズムによるPH

第5群には複合的な要因によりPHを発症するさまざまな疾患群が含まれている.これらの疾患群ではPH発症のメカニズムがいまだ明らかでなく,PHの発症率や有病率も明らかになっていないものも多い.治療方針は基礎疾患によって異なり,一部にPAHの病態が含まれている可能性もあるが,基礎疾患の治療を優先する.

1 血液疾患

血液疾患,特に鎌状赤血球症では,PHが予後に関与している.鎌状赤血球症患者におけるPHの発症率は6~ 10%であり,多くはヘモグロビンS遺伝子のホモ接合体をもつ患者にみられる1176, 1177).PHを発症した鎌状赤血球症患者では貧血の治療が重要であり,チームによる治療が必要である.しかし,鎌状赤血球症関連PH患者におけるPAH治療薬のデータは不十分である.

TRV≧2.7 m/秒で6分間歩行距離が150~500 mの鎌状赤血球症患者において,シルデナフィルによる6分間歩行距離,TRV,NT-proBNPに対する治療効果は認められず,疼痛による入院が増加する傾向がみられた1178).球状赤血球症では脾摘出がCTEPHの危険因子である1179).慢性骨髄増殖性疾患患者では複数のPHの成因が報告され,慢性骨髄性白血病では脾腫大がPoPHを引き起こす可能性がある.また,ダサチニブ,ボスチニブ,およびポナチニブといった薬物によるPAHの症例が報告されている572).真性多血症および本態性血小板増多症では,DVTとCTEPHのリスクが増加する.また,肝静脈内の血栓がバッド・キアリ症候群を引き起こし,その後PoPHをもたらす可能性がある.他にも,IgG4関連疾患,キャッスルマン病, POEMS症候群でも,第5群PHが説明できる可能性がある1180-1182). 2 全身性疾患

サルコイドーシス患者におけるPH有病率は6~20%であり,原因として肺線維化疾患,肺動脈,肺静脈の肉芽腫,線維化中隔炎,リンパ節による外因性圧迫,肺血管炎, CTEPH,PoPHがあげられる1183, 1184).

PHを有するサルコイドーシスでは罹患率,死亡率が上昇するため1184),適切なスクリーニングを行い,早期に発見する必要がある.ステロイド薬など抗炎症療法下でも呼吸困難が続く症例,6分間歩行検査で300 m以下,または5%以上のSpO2低下がある症例,BNPおよびNT-proBNP値が高度に上昇している症例,高分解CTで20%を超える線維性変化を有する症例,CTで肺動径/大動脈径比の増加がみられる症例,MRIでPHや右室機能不全が疑われる症例,呼吸機能検査で拘束性障害が変化せずWHO機能分類の悪化,6分間歩行距離の>20%減少,DLCOの> 15%の減少症例などでは,積極的にTTE検査を実施する.またRHC検査も適切に施行される必要があり,その結果はPHやサルコイドーシス,画像診断および移植などの専門家によるMDTで検討されるべきである1183).

サルコイドーシスに合併するPHに対し肺血管拡張薬の有効性を検討した二重盲検プラセボ対照試験は2件1185, 1186),前向き非盲検試験1187-1189)は3件行われているが,その有効性を確立するためにはさらに大規模な前向き研究が必要である.

神経線維腫症1型関連PHはまれだが,女性に多い.短期的にはPAH治療薬が有効であるものの予後不良で,重症の症例には肺移植が考慮される1190).

3 代謝性疾患

先天性代謝異常症によりPHをきたすことが知られてい