p.133 抽出テキスト
診断確定に有用である1158, 1160, 1161). 生存期間中央値は無治療で1.5ヵ月,外科手術により10 ~26ヵ月に改善するものの,肉眼的に病変を指摘できない内膜部分にも顕微鏡的には連続性に腫瘍細胞が進展しているため,局所再発や遠隔転移はほぼ必発である1159, 1161, 1162).可能なかぎり完全なPEAと補助療法(化学療法および放射線療法)が推奨され,拡大手術や肺切除術も行われる1162, 1163). 6.2 PPS PPSは肺内肺動脈に多発狭窄を呈する疾患である.小児期PPSの大半は先天性風疹症候群やWilliams症候群, Noonan症候群などといった遺伝性疾患の部分症であるか, VSDなど他の心臓形態異常に合併する.また,もやもや病に合併することも知られており,もやもや病の疾患感受性遺伝子であるring finger protein 213(RNF213)遺伝子との関連1164, 1165)も報告されている. 他の先天性疾患をもたず,成人期に症候が出現し診断される成人発症孤発型PPSが知られている588, 1166-1168).わが国の報告によると,肺換気血流シンチグラムでは84%の症例にCTEPH類似のミスマッチを伴う楔状血流欠損が認められ,肺動脈造影検査では区域肺動脈の狭窄,亜区域肺動脈以遠の狭窄,肺動脈の蛇行がそれぞれ93%,82%, 43%に認められた588)(図30B).成人発症孤発型PPSと診断された日本人20人のうち,80%にRNF213遺伝子の異常を認め,大半がホモ接合であった1168). PPSの治療は標準化されていない.わが国の報告では,肺血管拡張薬単独によっても血行動態の改善は認めたが,経カテーテル治療のほうが改善は大きかった588).成人発 症孤発型PPS患者に経カテーテル治療を施行し,血行動態や症状の改善を認めたとの報告は複数あるが1167, 1169),バルーン拡張のみによる治療効果は,病変の拡張不良や再狭窄のためCTEPH患者に比べて低い1168). 6.3 血管炎に伴う肺高血圧 高安動脈炎は,おもに大動脈とその主要な分枝を侵す,原発性で原因不明の肉芽腫性血管炎であり,アジア人種の女性に好発する1170).肺動脈病変のみを呈する高安動脈炎はまれだが,高安動脈炎患者のうち8.3%が肺動脈病変を合併するとされる1170).おもな肺動脈病変は主肺動脈の拡張,左右肺動脈の狭窄,閉塞,血栓性病変である1171, 1172) (図30C).高安動脈炎においてPHの合併は予後規定因子であり,肺動脈病変を有する高安動脈炎の61.7%に合併する1172, 1173). 疾患の活動性評価が重要であり,リウマチ専門医との連携を要する.肺動脈病変の診断にはDSA,MRA,CTPA,陽電子放射断層撮影(PET)-CT,肺換気/灌流シンチグラムなどが用いられる.CTPAやPAGでは器質化血栓が認められないなど,CTEPHとは異なる所見となる.CTEPHと類似の所見を呈するため肺血流シンチグラムのみでは鑑別は困難である.1年,3年,5年生存率はそれぞれ94.0%,83.2%,77.2%と報告されている1173). 高安動脈炎に対しては経皮的肺動脈形成術,肺血管拡張療法が行われる1174).血管炎活動期の患者では,免疫抑制薬の投与が考慮される1175). A B C 図30 肺動脈肉腫,PPS,および高安動脈炎の画像所見A:左肺動脈原発の肺動脈肉腫のCT像.右肺動脈への進展を認める. B:PPSの右肺動脈造影像.区域,亜区域の狭窄を認める. C:高安動脈炎の右肺動脈造影像.主肺動脈の拡張,右下葉枝本幹の閉塞を認める.