p.126 抽出テキスト
3.3.2 治療対象病変の選択 PEAでは器質化血栓を内膜と一塊にして摘出するため,病変の形態そのものは治療適応や効果への影響は少ないが,BPAでは1つ1つの病変の形態が治療適応や効果,合併症発症率と関連する638, 1104).病変形態の名称はさまざまなものがあるが,前述の川上らの提唱した分類が広く認識されている638)(図28).初回セッション,肺動脈圧が高いときにはwebやring-like stenosisを中心に治療を行い,肺動脈圧が低下した後のセッションで,比較的リスクが高い病変を治療することも検討される.近年はsubtotalやtotal occlusionを含めた全病変を治療し完全血行再建を行うことが血行動態や症状の改善につながることが示され,あらゆる病変が治療対象となりうる1105, 1106).その際,冠動脈や末梢血管へのインターベンションで用いられるデバイスやテクニックの応用がなされるようになってきた1107-1110). なお,tortuous lesionはもっとも合併症率が高い病変形態であり,BPA施行時には十分な注意を要する. 3.3.3 バルーンの選択 造影所見から血管径,病変形態を確認しバルーンの種類,サイズ,長さを決定する.IVUSやOCTの画像,プレッシャーワイヤーなどによる病変前後の圧所見も参考となる.特にBPAの手技獲得途中にある術者には有用な情報となることがある1094, 1096, 1099, 1108, 1111, 1112).限られた時間でより多くの病変を治療するためには,造影所見から血管の状態を想定し,バルーンを選択できるように修練が必要である. 血流が低下していた肺動脈は病変部を拡張し血流が改善されると,徐々に拡大し,本来の血管径に近づく現象が観察される.この性質にもとづき,はじめの数セッションは2~2.5 mmの小径バルーンで全肺動脈を拡張し,続く数セッションでは本来の血管径に合わせたバルーンで再拡張する手技が岡山医療センターを中心に行われている1113).合併症発症率の低減も期待できることから,現在主流の治療戦略である. バルーンの種類はsemicompliant,noncompliant, scoringなどを病変形態,局在によって選択する.しかし A: ring-like stenosis lesion B: web lesion C: subtotal lesion D: total occlusion lesion E: tortuous lesion図28 BPA の治療対象となる肺動脈病変の特徴的形態