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p.121 抽出テキスト

肺換気血流シンチグラフィは,CTEPDを除外するツールとしては感度・特異度も高く,有用な検査といえる1064).しかし,放射線同位元素の供給不足や大型の診断機器を必要とするため,すべての施設で施行できるわけではない.近年,ヨードマッピングCT,デュアルエナジーCT, MRI,CBCT,胸部X線動態画像-肺循環解析プログラムによるCTEPHの肺血流障害の診断に関する報告がされているが,2025年3月現在前向きの検証がなされておらず,有用性は確立されていない1065, 1066).

肺換気血流シンチグラムでCTEPH疑いの症例に対しては,RHC検査による肺高血圧の診断,および肺動脈造影もしくはCTPAにより肺動脈内の血栓を認めた場合, CTEPHの確定診断となる1065).

CTEPHの鑑別疾患としては,肺動脈肉腫や悪性腫瘍(腎がん,子宮がん,精巣の胚細胞腫瘍の転移など),動脈

炎,末梢性肺動脈狭窄症,寄生虫(包虫嚢胞),異物塞栓症といった肺動脈狭窄や閉塞を起こす疾患を検討する必要がある1065).また,PHに至らないが肺動脈内の血栓不完全溶解による肺血流欠損が残存するCTEPD without PHについても,特に症候性患者に対してCTEPH同様に診断・治療が重要となる.CTEPD without PHについては第1章6.慢性疾患への移行(PTS とCTEPD)参照.

2.2 治療アルゴリズム

2010年頃まで,国内,国外のCTEPH治療はPEAが唯一のものであり,治療アルゴリズムは手術適応か否かの検討が主であった.超低温循環停止法下のPEAは肺血流動

なし心エコー図検査でPHの可能性が中~高かつVQスキャンで血流ミスマッチ欠損CPET運動負荷心エコー図検査

CTEPHの確定診断

CTEPH/BPA専門施設(推奨クラスI)でのMDTによる治療評価

CTEPH/PHの専門施設へ紹介

RHC検査CTPA+DSA*および

PHの精密検査CTEPH危険因子(表42)

あり

Peak VO2, VE/VCO2 スロープ異常

運動誘発性PHなど

・・・

図25 CTEPH の診断と治療アルゴリズム(CTEPH を疑うべきケース) (Humbert M, et al. 2022 114)を参考に作図)

*CTPAでは確定できない場合

表42 CTEPH の危険因子

急性PTEの病歴特徴・ 診断時のCTPAにおいて肺動脈内で急性とは形態の異なる器質化血栓を認める例・ 3ヵ月以上の十分な抗凝固療法継続にもかかわらず,心エコー図上PHを強く疑う例・ PTE後の臨床経過で呼吸困難や活動制限が持続する例血管内のデバイス留置(ペースメーカ,長期中心静脈ライン,心室シャント)炎症性腸疾患本態性血小板血症,真性多血球血症脾臓摘出術抗リン脂質抗体症候群高用量甲状腺ホルモン補充担がん状態すべてのPH患者において診断時に疑うべきであり,その有無について検査する必要がある. (Konstantinides SV, et al. 2020 2),Delcroix M, et al. 2021 1054),Bonderman D, et al. 2009 1063)を参考に作表)