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p.115 抽出テキスト

て,優越性は示されていない1002).

2.4.3 トレプロスチニルの吸入投与

2021年に,ILD-PHに対するトレプロスチニル吸入の有効性を検証したRCTの結果が報告された1003).ILD-PH 326人(IIP 146人,CPFE 82人,CTD-ILD 72人,慢性過敏性肺臓炎19人,その他7人)が登録され,73%で長期酸素療法が導入されていた.主要評価項目(16週後の6分間歩行距離)について,31.12 m(95%CI 16.85~45.39,P< 0.001)の差が認められ,臨床的悪化に関しても抑制効果が認められた.重症度の高い(ベースラインの6分間歩行距離≦350m,%DLCO<40%,PVR≧4 Wood単位)症例ではトレプロスチニル吸入の有効性はより顕著であったが, CPFEではIIPやCTD-ILDと比較して有効性が劣る傾向を認めた.さらに,トレプロスチニル吸入によるILD-PHのFVC減少抑制の効果も報告されており1004),原疾患のILDに対する治療薬としての有用性も期待される.

わが国ではILD-PHに対し,2024年9月に適応が拡大された.長期的な有用性や予後に与える影響については,さらなる検証が必要である.

2.4.4 PH重症度による肺血管拡張薬の効果

PHの重症度によるILD-PHに対する肺血管拡張薬の反応性に関しては,いくつかの研究が報告されている.IPF- PHに対するシルデナフィルの循環動態改善の急性効果を示した研究997),PDE5阻害薬の第3群PHに対する有用性を報告した後ろ向きコホート研究975),IPF-PHに対するトレプロスチニル皮下/静脈投与による肺血行動態・運動耐容能・QOLの改善を示した報告993)では,対象症例のPHはすべて重症(mPAP≧35 mmHg,もしくはmPAP≧25 mmHgかつCI<2.0 L/分/m 2)であった.

さらに,ILD-PHを対象としたトレプロスチニル吸入でも,有効性がみられたのはPVR≧4 Wood単位の重症度の高い集団であり,PVR<4 Wood単位の症例ではその効果は減弱していた1005).ILDに合併した非重症PH群を対象として肺血管拡張薬の有効性を示した研究はなく,ILD-PHに対する肺血管拡張薬の投与は,おもに重症PHに対して検討すべきと考えられる. 3 COPDと肺気腫に伴うPH

(推奨表36)

推奨表36 肺疾患に伴うPH の診断,治療に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

肺疾患に伴うPH が疑われる場合には,心エコー図検査の結果を参考として,動脈血ガス分析の値,DLCO を含む呼吸機能検査,CT 画像とともに解釈する. I C肺疾患に伴うPH が疑われる場合には,低酸素血症,睡眠呼吸障害,肺胞低換気を含む基礎病態に対し,適切な治療を行う. I C肺疾患に伴うPH,ことに重症PH が疑われる場合やPH に対する治療に迷う場合には,専門医との相談,または専門医への紹介を行う. I C肺疾患に伴う重症PH 患者では,肺移植の適応を検討する. I C PH の疑いのある肺疾患患者において,治療方針の決定の助けとなると判断された場合には,RHC 検査を行う. I C肺疾患に伴う重症のPH の場合,PAH 治療薬を含めた個別化治療を行う. I C肺疾患に伴うPH 患者に肺血管拡張薬を投与する場合には,PDE5 阻害薬の使用を考慮する. IIa C肺疾患に伴う重症でないPH の場合, PAH 治療薬の使用は推奨されない

*. III No benefit C

ILD-PH ILD に伴う重症のPH 患者には,PAH 治療薬も含めた個別化治療を行う. I C ILD に伴うPH 患者には,トレプロスチニル吸入を考慮してもよい. IIb B IPF に伴うPH 患者に対して,アンブリセンタンは使用すべきではない. III Harm B IIP に伴うPH 患者に対して,リオシグアトは使用すべきではない. III Harm B ILD に伴う重症でないPH に対して, PAH 治療薬の使用は推奨されない. III No benefit C