GL検索 v0.1.0
画像は 111 ページを描画したものです
page 111

p.111 抽出テキスト

では,PHの評価を検討する前に,基礎疾患の治療を最適化する.左室機能不全が原因と考えられる場合には,「2025年改訂版心不全診療ガイドライン」940)に準拠した心不全の治療が優先される.

5.2 PH-LHDに対する肺高血圧治療薬

(推奨表35) HFrEFに対しては,肺血管拡張薬の有効性検証試験が行われてきた.プロスタサイクリンおよびエンドセリン経路の試験では,血行動態,NYHA心機能分類,6分間歩行距離などが改善されたものの,予後改善効果は証明できなかった941, 942).PDE5阻害薬に関しては評価が分かれている943).リオシグアトのLEPHT試験では,一部血行動態

的な改善と日常生活動作の改善が認められたが,主要評価項目(mPAPの変化)については,有効性が示されなかった944).HFpEFにPHを合併する患者を対象とし,ボセンタンの有効性をみたBADDHY試験では,運動耐容能の改善は得られなかった945).

Cpc-PHを対象(73%がHFpEF)にマシテンタンを使用したMERODY-1試験では,体液貯留が増加した946). ERAについては,いずれの試験においても早期の合併症として体液貯留が指摘されており,ERAの有効性を示すエビデンスは存在しない.

表40 LHD らしさの検査前確率

所見高確率中確率低確率

年齢>70歳60~70歳<60歳肥満,高血圧症,脂質異常症,糖代謝異常症>2個1,2個0個心臓インターベンション歴ありなしなし心房細動現在発作性なし器質的左心疾患ありなしなし心電図左脚ブロックまたは左室肥大軽度左室肥大ノーマル,または右室ストレイン心エコー図検査左房拡大,僧帽弁フローグレード>2左房拡大なし,僧帽弁フローグレード<2左房拡大なし,E/e'<13 CPET V 4E/V

4CO2スロープ軽度上昇,運動時周期性呼吸V 4 E/V

4 CO2スロープ上昇または運動時周期性呼吸高いV 4 E/V

4 CO2スロープ,運動時周期性呼吸なし

心臓MRI左房ストレインまたは左心房/右心房(容積)>1 LHDの所見なし(Vachiéry JL, et al. 2019 913)より) ©ERS 2019. CC BY-NC 4.0

推奨表34 PH-LHD の原因病態治療に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

PH の合併が疑われる心不全患者では,治療方針の決定のために,必要に応じてRHC 検査を行う. I C PH-LHD が疑われる場合,心不全の原因となるLHD の治療を十分に行ったうえでPH の評価を行う. I A PH-LHD の原因となっているLHD に対する治療を行う. I C PH-LHD に対する肺血管拡張薬の使用は推奨されない. III No benefit A推奨表35 PH-LHD の治療に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

LHD 患者では,PH の評価を検討する前に,基礎疾患の治療を最適化する. I A PH-LHD の原因となっているLHD に対する治療を行う. I C重度の前毛細血管成分(おおむねPVR > 5 Wood 単位)を伴うLHD およびCpc- PH の患者では,個別化された治療を考慮してもよい. IIb B PH-LHD に対して,予後改善を目的としてエポプロステノールを投与することは推奨されない. III No benefit C PH-LHD に対して,予後改善を目的としてボセンタンを投与することは推奨されない. III No benefit C