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p.110 抽出テキスト

予測因子である916, 919, 925).心不全患者においてpcPHの20 ~30%がCpcPHである926-928).有症状の大動脈弁狭窄症患者の65%に心エコー図検査でのPHが存在する929-934). PHは,弁膜症の治療,左室補助人工心臓の植込みや心臓移植の成績にも影響を与える913, 923, 935).肺血管拡張薬を使用してもPVRが6.0 Wood単位以上のPHは,心臓移植適応の除外基準となっている.PVRが5 Wood単位を超える場合,重度のpre-capillaryの要素を示しており,原疾患の治療においてもPH専門医との検討が必要である.

4 診断

心不全症状はPHのものと重なり,特異的ではなく,症状からの鑑別は難しい.画像診断上の肺うっ血の所見はLHDの存在を疑わせる.BNP/NT-proBNPの上昇は心不全を示唆するが,PHの臨床分類の鑑別は難しい.心エコー図検査はHFrEFとHFpEFを含む慢性心不全や弁膜性心疾患の診断に有用であり,LHDの診断には必須である.心エコー図検査のE/e′,IVC呼吸性変動,LVEI,LV/RV径比,右心室による心尖部形成所見を用いてのスコアリングで,LHD患者における前毛細血管性PHとpcPHの鑑別, IpcPHとCpcPHの鑑別が可能と報告されている936). HFrEFは心エコー図検査でスクリーニングできる.

HFpEFにおいては,治療によりRHC検査でのPAWPが15 mmHg以下となることもあり,加えてPHが残存する場合は血行動態的に前毛細血管性PHと誤診断される可能性があるため,注意が必要である.HFpEFスコア(HFA-PEFF, H2FPEF)は,PHの基本的な疾患としてHFpEFを検出するのに役立つ可能性がある937-939).LHDらしさを評価し(表40) 913),LHDが疑われるが中等度以上のPHがあり, CTEPHやPAHとの鑑別が必要な場合,重症心不全で心臓移植の検討が必要な場合には,積極的にRHC検査による評価を検討する913).病態の正確な評価のために,心不全の原因となるLHDの治療を十分行い,安定した状態でRHC検査を行う114).

5 治療

5.1 原因病態の治療(推奨表34)

PH-LHDを是正するためには,まず原因となっているLHDに対する適切な治療を行い,肺静脈圧を下げることがもっとも重要である.そのためPHが疑われるLHD患者

HFrEF HFpEF左心系弁膜症*1

左室充満圧上昇

左房圧上昇

肺静脈圧上昇

肺動脈圧上昇postcapillary PH

肺動脈収縮およびリモデリング

combined pre-and post-capillary PHさらなる肺動脈圧の上昇と

可逆性の消失

左心流出路閉塞左心流入路閉塞*2肺静脈狭窄

図23 LHD に伴うPH の発症機序*1僧帽弁狭窄症を除く, *2僧帽弁狭窄症,左房粘液腫など