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p.9 抽出テキスト

動脈硬化性病変の合併により,血栓除去カテーテルの挿入が困難,もしくは困難なことが予想される場合は,ハイブリッド治療(外科的血栓塞栓除去術+EVT)での血行再建を行う14, 18). I Cコンパートメント症候群と診断された場合は,早急に筋膜切開などの治療を行う15, 19). I C ALI 患者において,再発防止および塞栓源検索のため,心エコー,24 時間心電図,大動脈のCT 撮影などを行う14, 15). I B ALI の治療後,心房細動や心内血栓が指摘されれば,長期間の抗凝固療法を行う14, 20, 21). I B動脈硬化が原因の急性動脈閉塞患者には,通常の末梢動脈疾患患者と同様に,二次予防目的にて抗血小板薬,スタチンの投与を行う22). I A動静脈血栓が認められた場合は,悪性疾患や血栓性素因の検索を考慮する14, 15, 23, 24). IIa C患者の全身状態や時間的制約などにより,手術による血栓除去が困難な状況においては,EVT での血行再建を考慮してもよい25, 26). IIb C急性動脈閉塞の治療後,塞栓源が特定されなくても,再発防止のため抗凝固療法を考慮してもよい14, 20, 22). IIb C

本項では,UKの供給停止という緊急事態に伴う新規デバイスの導入がアップデートの中心となっているが,従来のガイドラインフォーカスアップデート版のように改訂箇所のみに限定して記載するとわが国の実臨床においてまだ確立されていない治療のみが記載されることとなり,治療としての一貫性・適切さが十分に反映されない内容になることが懸念される.従って,本項では2022年改訂版1)の内容も含めて記載した(図1).

3.1 初期治療

診断が確定次第,禁忌でない限り,可及的速やかに未分画ヘパリン5,000単位あるいは70~100単位/kgの静注を行う.ヘパリン投与によって二次血栓の進展が予防されるとともに,抗炎症作用が期待される14, 15).ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)と診断されている症例,あるいはHITが疑われる症例では,ヘパリンに替えてアルガトロバンの投与を考慮する14). 3.2 血行再建の手段

いずれの症例においても,抗凝固療法などの治療と重症度判定を早急に行うとともに,カテゴリーI,IIaの症例では迅速な,カテゴリーIIbの症例では緊急の血行再建を行う必要がある15).一方,カテゴリーIIIの症例では,血行再建に伴う虚血再灌流障害による多臓器不全のリスクが高まるため,血行再建よりも不可逆的変化に陥っている組織の切断を選択する15).血行再建の手段としては,手術(外科的血栓塞栓除去術やバイパス術など)とEVT(CDT,経皮的血栓吸引療法,ステント留置術など),そして双方を併用したハイブリッド治療が選択肢になる.

欧米からはCDTの良好な成績が報告されているが,その多くでは,わが国でALIに対して使用できないtPA製剤や,わが国の保険上で使用可能な上限を大きく超えた量のUK製剤が使用されている5-8).手術とCDTを比較したメタアナリシスでは両者の成績に差はないとされているが27),わが国では使用可能な薬剤が限られるため,手術による血行再建が第一選択となっている.動脈硬化性疾患を合併し,外科的血栓塞栓除去術が困難な場合や,施設に外科医が存在しない場合,あるいは患者の全身状態や時間的制約などで外科的血栓塞栓除去術が困難な場合は,代替療法としてEVTが選択される.しかし,現在わが国では実質的にUK製剤がほぼ使用できないことから,CDTの施行は著しく制限されている.一方,経皮的血栓吸引療法において,2023年に機械的に血栓を吸引するシステムであるINDIGOシステムがわが国においても使用可能となっているが,欧米からはその良好な成績が報告されている12, 28-30).

3.3 手術

手術には,動脈のカットダウンによるFogartyバルーンカテーテルを用いた外科的血栓塞栓除去術,バイパス術,そして補助的に行う血栓内膜切除術,パッチ血管形成術などがある31).外科的血栓塞栓除去術の場合,局所麻酔下での施行も可能であるが,鎮痛,鎮静,再灌流時の不整脈などに備え,可能な限り麻酔科医の管理の下で施行する14).外科的血栓塞栓除去術は,X線透視下にオーバーザワイヤー血栓除去用カテーテルを用いて,標的病変にワイヤーを通過させたうえで選択的な血栓塞栓除去を行うことが推奨される4).X線透視下でバルーンの挙動やカテーテルの抵抗を確認し,バルーンの大きさを調整しつつ血栓塞栓除去を行うことで,過膨張に伴う血管穿孔や内膜損傷に伴う解離を回避することも可能である.また,血栓塞栓除