p.6 抽出テキスト
ステートメント 要がある.本フォーカスアップデート版がその一助になればと考える.なお,ガイドライン作成組織構成員のCOIは巻末の付表に掲載した. 用語について 1)CLIとCLTI 生活習慣病,とくに糖尿病や腎不全の増加といった疾病構造の変化から,2022年改訂版では,「重症下肢虚血(critical limb ischemia: CLI)」という用語よりも,近年の実臨床を反映した「包括的高度慢性下肢虚血(chronic limb-threatening ischemia: CLTI)」という用語を使うことを推奨している.しかし,これまで蓄積されたエビデンス の多くが,CLI患者集団を対象に構築されていること,さらには今回のガイドラインの参考文献に含まれるRCTにCLIの記載が含まれていることから,当該データが構築された背景によってはCLIという用語を使わざるを得ない場面が多くなった.CLIとCLTIが混在することで,読者には難解になる可能性があることを承知しつつも,正確な記述のため,2022年改訂版同様にCLIという用語をあえて残すこととした. 2) 略語については,p.4の略語一覧を参照されたい. 第1章 急性動脈閉塞⦆ ● 急性動脈閉塞による急性肢虚血/急性下肢虚血(ALI)は,迅速な診断と適切な治療を行わなければ,肢のみならず生命予後も不良となる疾患であり,その治療では救命と大切断の回避が優先される. ● ALIの原因疾患を念頭に置いた治療戦略と全身管理 が求められる. ● 血栓溶解療法に制限のあるわが国では,基本的に は外科的血栓除去術かハイブリッド治療(外科的血栓除去術+血管内治療[EVT])が第一選択となる. ● 動脈硬化を合併する場合は血管造影を行いなが ら外科的血栓除去術を行い,残存病変に対してはEVTを追加するハイブリッド治療での血行再建が選択される. ● 患者の全身状態が悪い,または施設・時間的制約 から外科的血栓除去術が困難な場合は,EVTによる血行再建が選択される. ● ウロキナーゼ(UK)の供給停止に伴い,新規の血 栓吸引デバイスが国内で保険収載された. ● ゴールデンタイムを超過し,救肢の可能性が低い,あるいは血行再建により高度の虚血再灌流障害が 予想される場合には,救命を優先し,一次大切断(primary amputation)も考慮する. 1 ウロキナーゼ(UK)が使用でき ない状況下での薬物治療 1.1 血栓溶解療法 2022年改訂版1)でも言及されているように,わが国では有効な血栓吸引あるいは除去デバイスが使用できない状況が継続していた.加えて,現時点においてもわが国独自の問題点として,海外ではALIに対して通常使用されている組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)製剤が保険上の制約で使用できない.このため,わが国では長期にわたりさまざまな末梢動静脈血栓症に対して保険適用のあるUKが使用されてきた経緯がある(表3).厚生労働省が公表するNDBオープンデータ2)に公表されている各血栓溶解薬の使用量を見ても,わが国の医療現場がいかにUKに依存してきたかが理解できる(表4).